カトリック使徒教会

カトリック使徒教会（Catholic Apostolic Church）は、1832年にイギリスで創設されたキリスト教系の教派です。その起源は、エドワード・アーヴィングという人物の活動に遡ります。アーヴィングはロンドン長老教会に所属していましたが、「キリストの人性には罪が伴う」という主張から1830年に異端宣告を受け、1832年には教会を追放されました。この出来事を契機に、アーヴィングは新たな教会を設立し、それがカトリック使徒教会へと発展していったのです。そのため、この教派はアーヴィング主義と呼ばれることもあります。

カトリック使徒教会の信仰の中核には、イエス・キリストの再臨への強い期待があります。彼らは、キリストの再来が間近であると信じており、その日への備えを重視しています。また、典礼や聖母への崇敬といった点では、カトリック教会の影響を強く受けています。しかし、カトリック使徒教会を他のキリスト教教派と一線を画す特徴として、独自の聖職階層の存在が挙げられます。彼らは、使徒や天使といった、他の多くの教派には見られない職階を設けています。

特に重要なのは、1835年に選ばれた12人の使徒の存在です。彼らは、キリストの再臨まで生き続けることが期待されていました。しかし、現実には、使徒の選出後も、再臨は訪れませんでした。そして、1901年までに12人の使徒全員が亡くなったことで、カトリック使徒教会内部では大きな衝撃が走りました。この出来事が、教派の分裂を招く引き金となったのです。

実際、カトリック使徒教会は19世紀から20世紀にかけて、幾度も分裂を経験しました。12人の使徒の死を巡る解釈の違いや、教義に関する意見の相違などが、分裂の大きな要因となっています。結果として、現在では複数の分派が存在する状態となっています。それぞれの分派は、独自の解釈や実践を持ちながら、カトリック使徒教会の伝統を継承していると言えるでしょう。

カトリック使徒教会の歴史は、キリスト教における様々な潮流や、信仰の多様性、そして人間の信仰の脆さと強さを示す一つの事例と言えるかもしれません。再臨という終末論的な期待を信仰の核に据えながら、その期待が現実とは異なる形で展開した際に、教派がどのように分裂し、どのように発展してきたのか。その歴史的経緯は、現代においても多くの示唆を与えてくれるでしょう。教派の分裂や分派の形成は、信仰の解釈や実践における多様性を示すだけでなく、信仰共同体の維持と発展における困難さを改めて認識させる事例となっています。

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