カトルズ

『カトルズ』（Katorz）は、カナダのヘヴィメタル・バンド、ヴォイヴォドが2006年に発表したアルバムです。スタジオ・アルバムとしては11作目にあたります。

このアルバムは、バンドにとって非常に重要な意味を持つ作品となりました。オリジナル・ギタリストである"ピギー"ことデニス・ダムールが2005年に亡くなった後、彼の遺したギター・トラックを元に制作されたからです。生前のピギーがPro Toolsに残した音源に、他のメンバーがパートを重ねていくという方法がとられました。

アルバム・タイトルの「Katorz」は、ピギーが残したデモのタイトルに使われていた言葉に由来します。「14」を意味するフランス語「quatorze」のスペルを変えたもので、彼らしい独特のユーモアが感じられます。ピギーは亡くなる前に23曲のデモを残しており、そのうちの残りの楽曲は次作『インフィニ』（2009年）で使用されました。

プロデューサーには、かつてヴォイヴォドのアルバム『ナッシングフェイス』（1989年）を手掛けたグレン・ロビンソンが再び起用されました。彼の参加は、アルバムの方向性を決定づける上で大きな役割を果たしました。

当時、ヴォイヴォドは新たにジ・エンド・レコード（アメリカ）とニュークリア・ブラスト（ヨーロッパ）との契約を結び、本作は両レーベルからの移籍第1弾アルバムとなりました。しかし、日本盤は前作に引き続きビクターエンタテインメントから発売されています。

『カトルズ』は、アメリカでは発売初週に約2千枚を売り上げ、Billboardのインディペンデント・アルバム・チャートで37位、Top Heatseekers Chartで43位にランクインしました。

音楽評論家のGreg Pratoは、AllMusicにおいて5点満点中4点を付け、「彼らがこれほどまでに首尾一貫したアルバムを作ったのは、1989年のメタル・クラシック『ナッシングフェイス』以来のことだ」と評価しました。また、「メタル界において最も過小評価されたギタリストの一人に相応しい、最高の賛辞だ」と述べています。

アルバム収録曲は以下の通りです。

1. ザ・ゲッタウェイ "The Getaway"
2. ドッグネイション "Dognation"
3. ミスター・クリーン "Mr. Clean"
4. アフター・オール "After All"
5. オッズ&フラウズ "Odds & Frauds"
6. レッド・マイ・マインド "Red My Mind"
7. シリー・クローンズ "Silly Clones"
8. ノー・エンジェル "No Angel"
9. ジ・エクストリーム "The X-Stream"
10. ポラロイズ "Polaroids"

これらの楽曲は、作詞をスネイク（デニス・ベランジェ）、作曲をヴォイヴォドが担当しています。

収録曲の「ジ・エクストリーム」は、2006年の音楽ゲーム『ギターヒーロー2』でボーナス・トラックとして使用され、新たなファンを獲得するきっかけとなりました。

アルバムには、以下のミュージシャンが参加しています。

スネイク（デニス・ベランジェ） - ボーカル
ピギー（デニス・ダムール） - ギター
ジェイソニック（ジェイソン・ニューステッド）- ベース、バッキング・ボーカル
アウェイ（ミシェル・ランジュヴァン） - ドラムス

『カトルズ』は、ピギーの死という悲しみを乗り越え、バンドが新たな一歩を踏み出すための重要な作品となりました。彼の遺志を受け継ぎ、ヴォイヴォドはこれからも独自の音楽性を追求し続けていくことでしょう。

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