カドモス

カドモス：ギリシャ神話の英雄

カドモス（古希: Κάδμος）は、ギリシャ神話において非常に重要な登場人物です。彼は、フェニキアのテュロスの王アゲーノールとその妻テーレパッサ（またはアルギオペー）の子供であり、青銅の発見者としても知られています。カドモスはテーバイの創設者として名を馳せ、彼の伝説は数々の神々との関わりと共に語り継がれています。

幼少期と家族

カドモスには、兄弟としてキリクス、ポイニクス、エウローペーがおり、彼らは共に成長しました。カドモスはハルモニアーと呼ばれる神々の娘と結婚し、イーノー、セメレー、アガウエー、アウトノエー、ポリュイードス、イリュリオスの子供たちをもうけました。その中でも特にセメレーはゼウスの息子ディオニューソスを生むことで知られていますが、彼女の人生は多くの悲劇に満ちていました。

エウローペーの捜索

カドモスの物語は、彼の姉エウローペーがゼウスにさらわれたことから始まります。父アゲーノールは息子たちにエウローペーの捜索を命じ、カドモスは母と共に旅に出ました。途中、母が亡くなるという悲劇が起こり、カドモスはデルポイに向かい神託を受けました。この神託は、エウローペーの捜索を諦めるべきであり、一頭の雌牛の後をつけ、その地に都を建てることを指示しました。

大蛇との戦い

カドモスはその指示に従い、牛を見つけましたが、その牛を生け贄にしようとしたところ、泉で大蛇に遭遇しました。この大蛇はアレースのものとされ、カドモスの部下たちは命を奪われます。怒りの覚醒したカドモスは、岩を使って大蛇を殺しました。その後、彼は大蛇の牙を地中に播くよう指示され、そこから五人の武装した男性—スパルトイが生まれました。これらの男達はカドモスの忠臣となりますが、カドモスはアレースの怒りを鎮めるため、8年間の奴隷生活を強いられます。

ハルモニアーとの結婚

カドモスは後にアテーナーにより選ばれた土地で、ハルモニアーとの結婚式を挙げました。この結婚は神々が列席した最初のものとされ、アプロディーテーをはじめさまざまな神々から贈り物が届けられました。特にアプロディーテーが贈った黄金の首飾りは、驚くべき美しさをもたらすものでした。カドモスはハルモニアーとの間に複数の子供を育みましたが、運命は彼らを襲います。

不幸の連鎖

カドモスの家族は不幸に見舞われます。セメレーの死、イーノーの狂気、アウトノエーの悲劇など、彼の子供たちは神々の怒りや運命の悪戯に翻弄され、カドモスは深い悲しみの中で暮らします。

晩年と最期

老年に差し掛かると、カドモスはアレースの怒りが晴れないことを理解し、王位を退きハルモニアーと共にエンケレイスの地へ向かいます。彼らはふたたび神々と深い関係を持ち、最終的には大蛇として変身させられ、ゼウスによってエーリュシオンに住むことが許されました。カドモスとハルモニアーの物語は、英雄の栄光と悲劇的な運命が交錯した壮大なものであり、今なお語り継がれています。

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