カナイマ国立公園

カナイマ国立公園：ベネズエラの秘境、世界遺産

カナイマ国立公園は、南アメリカ大陸北部に位置するベネズエラ共和国の国立公園であり、1962年にその指定を受け、1994年にはユネスコの世界遺産（自然遺産）に登録されました。その広大な面積と手つかずの自然は、「世界最後の秘境」と称される所以です。

圧倒的なスケールと古代の神秘

公園の面積は3万平方キロメートルを超え、関東地方とほぼ同等の広さを誇ります。その大部分は、ギアナ高地と呼ばれるテーブルマウンテン（山頂が平らな山）群に覆われています。大小100余りのテーブルマウンテンは、20億年以上前の古代の地質をそのまま残しており、プレートテクトニクスの影響をほとんど受けていないと考えられています。この独特の地形は、2億5千万年前、激しい雨による浸食によって形成されたと言われています。

エンジェルフォールとロライマ山

公園の北西部には、標高2000メートル級のテーブルマウンテンが連なり、その中でも特に有名なのがアウヤンテプイです。アウヤンテプイには、落差979メートルを誇るエンジェルフォールが存在します。これは世界最大の落差を誇る滝として知られ、その壮大さは息を呑むほどです。一方、公園内最高峰のロライマ山は、比較的容易に登山できるため、多くの観光客が訪れています。

これらのテーブルマウンテンは、それぞれが孤立した環境にあるため、独自の進化を遂げた固有種が多く生息しています。4000種以上確認されている植物のうち、7割はカナイマ国立公園固有種です。

ラ・グラン・サバナと多様な生態系

ロライマ山の近くには、3000平方キロメートルに及ぶサバンナ地帯、ラ・グラン・サバナが広がっています。ここでは、ハスペの滝やアラペナメルー滝など、独特の景観を見ることができます。ハスペの滝は、碧玉でできた一枚岩から水が流れ落ちる美しい滝として知られています。

カナイマ国立公園の気候は熱帯気候に属し、12月から5月が乾季、6月から11月が雨季となります。カリブ海からの湿った風がギアナ高地へ吹き込むことで、鬱蒼としたジャングルが形成され、常に雲に覆われているため、衛星写真による地形の把握が困難なほどです。

世界遺産としての価値

カナイマ国立公園は、以下の世界遺産登録基準を満たすことから、世界遺産に登録されました。

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。
(9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
(10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。

アクセス

エンジェルフォールへのアクセスは、シウダ・ボリバルが起点となります。ロライマ山やラ・グラン・サバナへのツアーは、サンタ・エレナ・デウラリが起点となっています。

カナイマ国立公園は、その手つかずの自然、壮大な景観、そして貴重な生態系によって、世界中から多くの観光客を惹きつけています。しかし、その貴重な自然環境を守るため、持続可能な観光の推進が重要となっています。

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