カナディアン・エスキモー・ドッグ

カナディアン・エスキモー・ドッグについて

カナディアン・エスキモー・ドッグは、カナダに起源を持つ犬種で、主にそり引き犬として知られています。一般的には「エスキモー・ドッグ」とも呼ばれ、イヌイット語では「クィンミク」や「キングミク」と名付けられています。

歴史的背景

この犬種は古代からイヌイットによって飼育されており、確かなルーツは不明ですが、他の北方のソリ引き犬種、例えばグリーンランド・ドッグやシベリアン・ハスキーとの関連が指摘されています。当初は広範囲でそりを引くために使用されており、時にはアザラシやホッキョクグマなどの狩猟にも役立てられていました。イヌイットにとって、この犬は日常生活に欠かせない存在でした。

しかし、外部の人々による発見やブリーディングが進むにつれ、状況は一変しました。優良な犬が持ち出され、シベリアン・ハスキーとの交配が進む一方で、オートバイや車の普及により、そり引きの需要は減少していきました。1920年代には2万頭以上が存在していたものの、1970年代には純血のカナディアン・エスキモー・ドッグが約200頭にまで減少し、絶滅寸前の危機に瀕しました。

その後、イヌイットや愛好家たちが犬種クラブを結成し、残された純血種の繁殖を行ったことで、頭数を回復させることができました。再びその良さが見直され、現在ではアメリカのアラスカ州を含む世界中の犬ぞりレースでも広く使われています。また、イヌイットの生活にも復帰し、ペットとしても人気を集めています。

特徴

カナディアン・エスキモー・ドッグは、日本犬に似たスピッツ的な外見を持っています。体は筋肉質で引き締まっており、長めのマズルと脚、立ち耳を特徴としています。また、ふさふさした巻き尾もこの犬の特徴の一つです。被毛は厚く防寒性に優れたショートコートで、色はホワイトを基にクリームやイエロー、レッド、タン、ブラウン、グレー、ブラックなど様々です。体高は51〜69cm、体重は27〜48kgの大型犬に分類されます。

性格は温和で非常に友好的であり、他の犬や猫、ウサギとも仲良く過ごせます。また、子供とも相性が良く、非常に寛容です。ただし、自分よりも上位者の指示しか受け入れないため、しっかりとしたしつけが必要になります。この点は初心者には少し難しいかもしれません。

運動量は豊富で、そり引き犬としてはスピードよりも持久力を活かして長距離を走ることが得意と言われています。家庭犬としても非常に優秀ですが、運動不足には注意が必要です。

参考文献

デズモンド・モリス著、福山英也、大木卓訳『デズモンド・モリスの犬種事典』(誠文堂新光社、2007年)

関連項目

• - アラスカン・マラミュート
• - アメリカン・エスキモー・ドッグ: 「エスキモー」の名を持つが本種とは全くの別種。
• - ディンゴ: アボリジニの原名は「ワリガル」。
• - 犬の品種一覧

もう一度検索