カバザクラ

カバザクラ（蒲桜）

カバザクラ（蒲桜、学名：Cerasus × media ‘Kaba-zakura’）は、バラ科サクラ属の栽培品種であり、その名は源範頼の別名「蒲冠者」に由来します。原木に源範頼の伝承が残る、歴史とロマンを感じさせる桜です。

原木：石戸蒲ザクラ

カバザクラの原木である石戸蒲ザクラは、埼玉県北本市石戸宿の東光寺境内にあります。樹齢は約800年と推定され、エドヒガンとヤマザクラの自然交配によって生まれたと考えられています。その存在は貴重であり、国の天然記念物、そして日本五大桜の一つとして大切に保護されています。

しかし、長い年月を経た老木であるため、かつては4本あった幹も、現在では1本と孫生えを残すのみとなっています。それでも、その姿は見る者を圧倒し、歴史の重みを感じさせます。

源範頼の伝説

この石戸蒲ザクラには、源範頼にまつわる伝説が残っています。源範頼は、兄である源頼朝に疎まれ、修善寺で暗殺されたという説が一般的ですが、石戸に逃れてきたという別の伝説も存在します。地元では、範頼が杖として使っていたものが根付いた、あるいは範頼自身が植えたという伝承が語り継がれています。この伝説が、カバザクラの名前の由来にもなっています。

北本市のシンボル

かつては世界に一本しか存在しなかったカバザクラですが、北本市のまちおこしの一環として、その子孫が市内に植樹されています。これにより、カバザクラは北本市のシンボルとして、市民に親しまれています。

特徴

カバザクラは、高木であり、傘状の樹形をしています。花は一重咲きで中輪、花弁の色は白色です。東京での花期は4月上旬で、ソメイヨシノよりも数日遅れて開花します。清楚な白い花は、春の訪れを優雅に告げます。

鈴鹿のがまさくら

三重県鈴鹿市には、同じ「蒲桜」という漢字で「がまさくら」と読む桜が存在します。両者の関係は不明ですが、こちらも源範頼に関わる伝承があるなど、カバザクラとの共通点が見られます。日本の各地には、様々な桜の物語が息づいているのです。

カバザクラは、その美しい花とともに、源範頼の伝説を今に伝える貴重な桜です。春にはぜひ、その姿を観賞し、歴史のロマンに浸ってみてください。

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