カフェーパウリスタ

カフェーパウリスタの歴史

カフェーパウリスタ（CAFE PAULISTA）は、日本の喫茶店の歴史に刻まれた名店であり、1911年に東京・銀座に誕生しました。当初はブラジルコーヒーの普及を目的に、サンパウロ州政府からの支援を受けて開業されました。この店名は、ブラジルのサンパウロ出身者を指す「パウリスタ」が由来です。

開店の背景

当時の社長、水野龍の起業理念には、ブラジルへの日本人移民の促進と共に、ブラジルコーヒーの魅力を日本に伝えるという目標がありました。1910年、水野は大隈重信の協力を得て合資会社カフェーパウリスタを設立し、1911年12月に銀座6丁目に店舗をオープンしました。店内はシンプルながら庶民的な雰囲気で、コーヒー1杯をわずか5銭で提供していました。この価格帯は多くの文化人や学生に支持され、喫茶文化の発展に寄与しました。

文化人の足跡

カフェーパウリスタは、芥川龍之介や平塚らいてうなどの文人が通ったことでも知られています。また、特に慶応義塾の学生たちも集い、ドーナツを一緒に楽しむ風景が見られたといいます。このように、カフェはただの喫茶空間ではなく、文化が交錯する場所として機能していました。

箕面の1号店とその後

意外な展開として、2003年に箕面市のカフェーパウリスタが、1911年の開業が銀座店よりも早かったことが明らかになりました。しかし、こちらの店舗は長続きせず、その存在は忘れ去られてしまいました。箕面の店舗は後に豊中市に移築されたものの、2013年に解体されてしまいました。

事業の縮小と再編

残念ながら、1923年の関東大震災はカフェーパウリスタにとって大きな打撃となりました。多くの店舗が全壊し、さらにブラジルからのコーヒー豆の供給契約も終了。これによりカフェの経営から撤退し、コーヒーの輸入・焙煎業へと事業を転換することとなります。その後、経営も引き継がれ、1943年には名前を日東珈琲株式会社に変更しました。

戦後の復活と成長

戦後の1947年には長谷川主計が社長に就任し、1970年には銀座8丁目に直営店を再オープンしました。現代においてもその名を残すカフェーパウリスタは、1978年にはジョン・レノンとオノ・ヨーコが訪れたことで、話題を呼びました。

「銀ブラ」の語源

カフェーパウリスタは、かつて「銀ブラ」という語の由来が、銀座でコーヒーを楽しむ行為であると主張していました。しかし、その主張を裏付ける文献は見つかっていないため、定説とは異なる内容となっています。

おわりに

カフェーパウリスタは、東京の喫茶文化の先駆けとして、多くの人々に愛され続けています。歴史のなかで多くの人々が繋がってきたこの場所は、今なお日本の喫茶文化に大きな影響を与えています。

もう一度検索