カプセル内視鏡
カプセル内視鏡について
カプセル内視鏡は、小型のカメラを内蔵したカプセル型の医療機器で、主に小腸や大腸の観察に利用されます。この技術は、従来の内視鏡ではアクセスが困難であった小腸部位の検査を可能にし、患者にとっては身体的負担が少ない検査方法です。患者はカプセルを口から飲み込み、それが消化管を通過する間に内部の画像が撮影されます。最终的にカプセルは肛門から自然に排出されます。
歴史
カプセル内視鏡は1981年、イスラエルのラファエル研究所で技術者ガブリエル・イダンにより開発が始まりました。1994年には、ロサンゼルスで開催された消化器病学国際会議にてその研究成果が発表され、1998年にはこれを商業展開するための企業、ギブン・イメージングが設立されました。2000年には、カプセル内視鏡の臨床研究が「ネイチャー」に掲載され、広く認知されるようになりました。
日本では、2007年に薬事承認を受け、その後も小腸および大腸用のカプセル内視鏡が次々と登場し、保険適用されるようになりました。特に、クローン病や腸疾患の患者にとっては重要な検査手段となっています。2013年には、大腸用のカプセル内視鏡が日本で承認されました。この機器は、内部に器質的異常がある患者でも使用できる特徴があります。
構造
この内視鏡の大きさは一般的な医薬品のカプセルとよく似ていますが、若干大きめです。例えば、コヴィディエン製の小腸用カプセルは、2.6 cm × 1.1 cmのサイズで、毎秒2枚から6枚の画像を撮影します。一方、大腸用カプセルは3.1 cm × 1.1 cmで、毎秒4枚または35枚の画像を撮影します。カプセル内部にはCMOSまたはCCDカメラ、無線装置が搭載されており、消化管内を進む過程で画像データを体外に送信します。
カプセルは撮影後自然に排出され、使い捨てとして処理されます。この検査は非侵襲的であり、患者にとって負担が少ないため、人気があります。
製品
日本で薬事認可されているカプセル内視鏡には、以下の3つがあります：
現在市場にないものの、アールエフが開発中のカプセル内視鏡も注目されています。
評価
カプセル内視鏡による小腸の診断は、病変を早期に特定するのに優れているとされていますが、腸管の狭窄により、稀にカプセルが自然排出されないことがあるため、IBD専門医との相談が推奨されています。大腸用カプセル内視鏡では、排出時間の中央値が4時間1分で、90%以上の患者が10時間以内に排出されるというデータもあります。通常の内視鏡検査と比較した場合、カプセル内視鏡の病変発見能力には差が見られず、その利用は今後も拡大することが期待されています。
カプセル内視鏡は、患者のQOLを向上させる有用なツールとしてその重要性が増しており、消化管の評価における新たなスタンダードとなりつつあります。
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