カプタホール

カプタホール：その歴史と規制

カプタホール(Captafol)は、かつてうどん粉病以外の多くの植物の菌病防除に使用されていた殺菌剤です。しかし、人体への発がん性リスクが懸念されたことから、その使用は厳しく制限され、多くの国で禁止されています。

アメリカ合衆国における規制

アメリカ合衆国では、発がん性物質の可能性が指摘された1987年に、殺菌剤としての製造が中止されました。その後も在庫の利用は認められていましたが、1999年にはタマネギ、ジャガイモ、トマト以外の作物への使用が禁止され、2006年には全ての作物への使用が全面的に禁止されました。

世界的な規制の動向

アメリカ合衆国での使用禁止を皮切りに、2000年以降、多くの国がカプタホールの使用を制限・禁止する動きを見せています。2010年時点では、食用作物へのカプタホールの使用を認めている国は確認されていません。このことは、カプタホールが世界的に使用が制限されていることを示しています。

毒性と安全基準

アメリカ合衆国の国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、カプタホールの皮膚曝露における推奨曝露限界を、1立方メートルあたり0.1mgと定めています。また、動物実験では発がん性が確認されており、安全な使用量を評価できるデータは存在しません。毒性については、一般的に普通物とされています。

日本における状況

日本では、カプタホールは「ダイホルタン」（商品名：ホールエースまたはホールエイト）という名称で無登録輸入品として流通していました。しかし、発がん性や毒性に関する懸念から、使用は厳しく制限されています。かつては日本農薬、北興化学、日産化学、三共などが製造業者として名を連ねていました。

特許情報

カプタホールに関する特許は、3,178,447 (1965)として登録されています。また、チアベンダゾールとの混合物に関する特許は、4,092,422 (1978)として取得されています。これらの特許情報からも、カプタホールが一度は広く使用されていた殺菌剤であったことが伺えます。

国際貿易規制

カプタホールの国際貿易は、ロッテルダム条約によって規制されています。この条約は、有害物質の国際的な取引を管理・規制することを目的としており、カプタホールのような危険性の高い物質の流通を制限する役割を果たしています。

類似物質

カプタホールと類似した構造を持つ殺菌剤として、キャプタンがあります。キャプタンは現在も使用されていますが、カプタホールと同様、使用にあたっては適切な安全対策が求められます。

結論

カプタホールは、かつては広く使用されていた殺菌剤でしたが、発がん性リスクなどの問題から、世界的に使用が禁止または厳しく制限されています。この事例は、農薬の使用における安全性確保の重要性を改めて示すものと言えるでしょう。今後、より安全で環境に配慮した代替物質の開発と普及が求められます。

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