カプツィーナー納骨堂

カプツィーナー納骨堂

ウィーンの中心部に位置するカプツィーナー納骨堂（Kapuzinergruft）は、オーストリアの歴史と文化において非常に重要な場所です。この納骨堂は1617年に創設され、ハプスブルク家およびハプスブルク＝ロートリンゲン家に属する皇帝や皇后、その子孫が埋葬されています。歴史的な背景を持つこの場所は、観光名所としても知られています。

歴史的な背景

カプツィーナー納骨堂の建立は、神聖ローマ皇帝マティアスの皇后、アンナによる構想から始まりました。彼女は自身と皇帝マティアスのための墓所を建設することを決意し、ウィーンのホーフブルク宮殿近くに教会と修道院を設けるための資金を提供しました。残念ながら、アンナは建設計画が実現する前に亡くなり、その後マティアス帝も彼女の死から1年後に崩御しました。

1632年には、天使の聖母マリアに捧げる形で教会が献堂され、その翌年の復活祭に、皇帝夫妻の遺体が盛大に移されました。この場所は「創設者納骨堂」と称され、以降納骨堂は拡張や改修を重ねてきました。

現在の納骨堂

現在、カプツィーナー納骨堂には138体の遺骨が安置されています。内訳はハプスブルク家およびハプスブルク＝ロートリンゲン家の人々であり、聖職者であるカプチン会の修道士たちがこの場所の保護と管理を行っています。納骨堂内部には、豪華なロココ様式からシンプルなデザインまで様々なサルコファガス（棺）があり、特に注目すべきは103の金属製サルコファガスと5つの心臓壷です。これには12人の皇帝と18人の皇后が含まれています。

また、埋葬されている人々の中には他の家から来た配偶者も含まれ、32人がこの場所で永遠の眠りについています。彼らはオーストリア大公またはオーストリア大公女の称号を持つ者であることが特徴です。

主な埋葬者

カプツィーナー納骨堂には、多くの著名な埋葬者が存在します。創設者納骨堂には皇帝マティアスや皇后アンナ、レオポルト納骨堂には皇后マリア・レオポルディーネ、カールス納骨堂には皇帝レオポルト1世や皇帝ヨーゼフ1世などが埋葬されています。また、特に注目されるのはフランツ＝ヨーゼフ納骨堂で、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世や皇后エリーザベトなど有名な人物が安置されている点です。

特別な場所としての意味

カプツィーナー納骨堂は、ただの埋葬場所ではなく、オーストリアの歴史を物語る非常に重要な文化財です。ここに埋葬された人々は、過去のハプスブルク帝国の広範な影響力とその栄光を象徴しています。この地を訪れることで、その歴史を感じ取り、オーストリアの偉大な遺産の一部に触れることができるでしょう。これからも観光客や歴史愛好者にとって、カプツィーナー納骨堂は魅力的な訪問場所であり続けるものと思われます。

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