カミングアウトデー

国際カミングアウトデーとは

国際カミングアウトデー（National Coming Out Day、NCOD）は、毎年10月11日に、自身の性的指向や性自認（LGBT）をカミングアウトした人々を祝福し、社会的な認知向上を目的とする日です。元々はアメリカ合衆国のイベントでしたが、現在では世界中で広く認知され、LGBTコミュニティにとって重要な記念日となっています。

歴史

国際カミングアウトデーは、1988年に心理学者のロバート・アイヒバーグとLGBT活動家のJean O'Learyによって提唱されました。10月11日という日付は、1987年にワシントンD.C.で行われたゲイとレズビアンの権利を訴える大規模なデモ「ワシントンマーチ」を記念したものです。このデモが多くのLGBT活動団体を生み出すきっかけとなったことから、この日をカミングアウトデーとしました。

当初、カミングアウトデーの事務局はカリフォルニア州に設置され、18州でイベントが開催されました。その後、参加州は増加し、1990年にはアメリカ全州と国外7か国が参加する国際的なイベントへと発展しました。事務局は後にヒューマン・ライツ・キャンペーン基金に統合されました。

イベント内容

カミングアウトデーには、集会やパレード、情報ブースの設置など、多様なイベントが世界各地で開催されます。これらのイベントでは、LGBTQのシンボルであるピンク・トライアングルやレインボーフラッグなどが用いられ、コミュニティの連帯を象徴しています。

オーストラリア、カナダ、ドイツ、オランダ、ニュージーランド、イギリスなど、多くの国々でこの日を記念するイベントが行われています。アメリカでは、ヒューマン・ライツ・キャンペーンがスポンサーとなり、「National Coming Out Project」というイベントも開催されています。

日本でも、2017年からLGBTQと職場環境について考えるカンファレンス「work with Pride」が開催されるようになり、2020年には常設のLGBTQセンター「プライドハウス東京レガシー」がオープンするなど、カミングアウトデーは重要な節目となっています。

誤解について

カミングアウトデーにおける「カミングアウト」は、単なる個人的な告白や打ち明け話とは異なります。しかし、この日の背景を知らずに、単なる「打ち明け話の日」と誤解してしまう事例が日本で発生しています。

2022年には、複数の企業のTwitterアカウントがカミングアウトデーを「打ち明け話」と解釈し、自社製品やサービスの宣伝を行ったことで、批判を浴びる事態となりました。これらの企業は後に謝罪しましたが、カミングアウトデーの意義を正しく理解することの重要性を示す事例となりました。

関連情報

国際反ホモフォビアの日
LGBT History Month（英語版）
アメリカ合衆国におけるLGBTの権利（英語版）
マタシン協会（英語版）
* キース・ヘリング - カミングアウトデーのロゴをデザイン

国際カミングアウトデーは、LGBTの人々が安心して自分らしく生きられる社会の実現に向けて、重要な役割を果たしています。この日をきっかけに、性的マイノリティに対する理解を深め、多様性を尊重する社会を築いていくことが求められます。

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