カラカラ

ルキウス・セプティミウス・バッシアヌス（カラカラ）

ルキウス・セプティミウス・バッシアヌス（188年4月4日 - 217年4月8日）、通称カラカラは、ローマ帝国の皇帝としてセウェルス朝の第二代目の君主です。本名ではなく、カラカラという渾名で広く知られています。この名は、彼が幼い頃から好んで着用していたガリア地方特有のフード付きチュニックに由来しています。

生い立ちと背景

カラカラは元老院議員であった父セプティミウス・セウェルスと後妻のユリア・ドムナの間に生まれました。彼の家系はカルタゴ人とアラブ人の血を引き、特に母方を通じてオリエント圏にもルーツがあります。父が皇帝に即位した際、カラカラは名をマルクス・アウレリウス・アントニヌス・カエサルに改めたものの、彼を覚えている人々の多くはカラカラの名で彼を呼び続けました。209年には、弟プブリウス・セプティミウス・ゲタと共に共同皇帝として指名されます。

治世の始まり

カラカラは父の死後、弟ゲタと共に皇帝としての権力を握りますが、兄弟間の争いが激化し、最終的にカラカラはゲタを殺害します。この暗殺は凄まじい権力闘争の結果であり、彼の兄弟に対する冷酷さを象徴しています。以降、カラカラは弟の名声を抹消するため、元老院に命じて名誉の抹殺を行い、多くの関係者が犠牲となります。

政策と業績

カラカラは貨幣の改鋳を実施し、これによりインフレが進行しました。彼は全属州民にローマ市民権を与えるアントニヌス勅令を発布し、税収の拡大を目指しましたが、これには出自差別の撤廃という側面もありました。213年には北方国境でアレマンニ族の攻撃が激化し、カラカラは軍事行動に出ますが、後に講和を結ぶ結果となります。

暴政の影響

カラカラの治世は「人類共通の敵」と評されるほどの暴政として記憶されています。特に東方属州での虐殺や略奪が横行し、彼の権力基盤は軍に依存していました。カラカラは民衆を弾圧し、大規模な殺戮を引き起こしました。特にアレクサンドリアでは、民衆の集会を装って大規模な虐殺を行い、2万人以上の住民が命を落としました。これにより彼の名声は地に落ち、元老院との関係も悪化しました。

最後の日々と暗殺

216年に彼はパルティアへの親征を開始しますが、217年、カラカラは近衛兵のユリウス・マルティアリスに刺殺されます。彼の死の背景には個人的な復讐があったと言われ、彼は道端での隙を突かれて殺されるというあまりにもあっけない最期を迎えることになります。

死後、カラカラは子孫を残さず、セウェルス朝は一時的に断絶します。彼の人生は暴力と権力闘争に満ちており、ローマ帝国の歴史の中で重要な位置を占めています。カラカラの暗殺後、皇帝位を巡る争いや新たな王朝の誕生へと続く複雑な歴史が展開していきます。

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