カラル・アルト天文台

カラル・アルト天文台：スペインの山頂にそびえる天体観測の拠点

カラル・アルト天文台は、スペイン南部のアルメリア県、シエラ・デ・ロス・フィラブレス山脈に位置する標高2168mの山頂に設置された天文台です。正式名称は Centro Astronómico Hispano en Andalucía（CAHA）といい、その名の通り、スペインとドイツの共同プロジェクトとして誕生しました。現在では、アンダルシア評議会とアンダルシア宇宙物理学研究所（AII-CSIC）によって共同運営されています。

設立と歴史

1970年に計画が開始され、1975年7月に公式に開設されました。当初は1.23mの反射望遠鏡が設置され、翌年にはハンブルク天文台から0.8mのシュミット式望遠鏡が移設されました。2018年までは、マックス・プランク天文学研究所とアンダルシア宇宙物理学研究所の共同運営でしたが、2019年にドイツ側が運営から撤退し、現在の体制となりました。設立当初は Centro Astronómico Hispano-Alemán（CAHA）や Deutsch-Spanisches Astronomisches Zentrum（ドイツ語）とも呼ばれていました。

観測設備

この天文台には、主に以下の4つの望遠鏡が稼働しています。

3.5m望遠鏡：ヨーロッパ本土最大の光学望遠鏡で、赤道儀式架台を備えています。
2.2m望遠鏡：多目的に利用されています。
1.23m望遠鏡：初期から運用されている歴史ある望遠鏡です。
0.8mシュミット式望遠鏡：広視野観測に用いられます。

これらの他に、スペイン国立天文台が所有する1.52m望遠鏡や、スペイン宇宙生物学センターが設置した小型ロボット望遠鏡も存在します。

研究活動

カラル・アルト天文台の望遠鏡は、多岐にわたる天文学分野の研究に用いられています。主な研究分野は以下の通りです。

太陽系天体の研究：小惑星や彗星などの観測が行われています。
宇宙論：AlhambraサーベイやCALIFAサーベイなどの大規模な観測プロジェクトが実施されています。
* 太陽系外惑星の研究：CARMENESサーベイなどのプロジェクトで、太陽系外惑星の探索が行われています。

特にCALIFA (Calar Alto Legacy Integral Field Area Survey) は、600個の銀河の分光マップを作成するプロジェクトとして知られています。

小惑星の発見

カラル・アルト天文台からは、数多くの小惑星が発見されています。ルボシュ・コホーテク、Kurt Birkle, Ulrich Hopp, Johann M. Baur, Krisztián Sárneczky, Gyula M. Szabó, Felix Hormuth, Hermann Boehnhardtといった著名な天文学者が、この天文台で小惑星を発見しています。また、小惑星センターによって発見者として認定された小惑星も多数存在します。小惑星番号189202のカラルアルトは、この天文台にちなんで命名されたものです。

スポーツイベント

カラル・アルト天文台は、天文研究の拠点としてだけでなく、自転車ロードレースのフィニッシュ地点としても有名です。2017年のブエルタ・ア・エスパーニャでは、ステージ11のフィニッシュ地点となり、ミゲル・アンヘル・ロペスが勝利しました。また、2004年と2006年のブエルタでもフィニッシュ地点に選ばれています。


カラル・アルト天文台は、ヨーロッパの主要な天文台として、今後も天文学の発展に貢献していくことが期待されています。

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