カラヴァッジオ (映画)

映画『カラヴァッジオ』

デレク・ジャーマンが1986年に監督した『カラヴァッジオ』は、イタリアの著名な画家ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオを題材とした映画です。この作品は、彼の人生をただの伝記として扱うのではなく、創造的な視点から紡ぎ出された物語となっています。映画には、カラヴァッジオが描いた有名な画作品「メドゥーサ」や「愛の勝利」、そして「執筆する聖ヒエロニムス」などが登場し、彼の芸術性が色濃く反映されています。

概要

本作は、デレク・ジャーマンと女優のティルダ・スウィントンが初めて共同作業を行ったもので、ジャーマン自身の経験や視点が色濃く表れています。特に、同性愛というテーマは、後にHIVで旅立つことになるジャーマンにとって重要な要素でした。この映画では、歴史的な文脈を超えたアナクロニズムの手法が用いられ、現代の電卓やタイプライター、トラックが登場し、作品に独特な印象を与えています。

ストーリー

物語は1610年、画家カラヴァッジオがトスカーナの質素な部屋で鉛毒に侵されながら夜を待つところから始まります。過去を振り返る彼は、少年時代にミラノ近郊のカラヴァッジオ村を離れ、ローマに移り住んだ経緯を回想します。彼はその地で道端で絵を描き、食いつないでいましたが、貧困から病気にかかり入院します。そこで彼は、枢機卿デル・モンテに出会い、彼の作品に感銘を受けた枢機卿の庇護を受けます。その後、カラヴァッジオはローマにおいて公式な作品の依頼を受け、「聖マタイの召命」などの連作に取り組みます。

カラヴァッジオの人生は、若い賭事師ラヌッチオ・トマソーニとその愛人レナとの奇妙な三角関係によって変化していきます。特に、銀行家マルケーゼ・ヴィジェンゾ・ジュスティアーニから「愛の勝利」を描く依頼を受けたことで、彼はレナとラヌッチオをジュスティニアーニの豪華なパーティに連れて行きます。このパーティで、レナはビオーネ・ボルゲーゼ枢機卿に紹介され、ボルゲーゼは彼女に魅了されていきます。

カラヴァッジオは、レナをモデルに「マグダラのマリア」を描く一方、レナはボルゲーゼに取り入るための計画を練ります。しかし、その計画は悲劇的な結末を迎え、レナはテベレ川で溺死体として発見されます。そのため、ラヌッチオは容疑者として逮捕されることになります。カラヴァッジオは彼を救うために法王にも会うものの、事態はさらに複雑化します。ラヌッチオが釈放された後、彼はカラヴァッジオに自分が犯人であると告白し、怒りに駆られたカラヴァッジオはラヌッチオを刺し殺してしまいます。

スタッフ

• - 監督／脚本: デレク・ジャーマン
• - 音楽: サイモン・フィッシャー・ターナー
• - 衣装デザイン: サンディ・パウエル

出演者

• - カラヴァッジオ: ナイジェル・テリー
• - ラヌッチオ: ショーン・ビーン
• - レナ: ティルダ・スウィントン
• - 少年カラヴァッジオ: デクスター・フレッチャー
• - 枢機卿デル・モンテ: マイケル・ガフ
• - 銀行家ジュスティニアーニ: ナイジェル・ダヴェンポート
• - 枢機卿ボルゲーゼ: ロビー・コルトレーン

この作品を通じて、ジャーマン監督はカラヴァッジオの激動の人生を力強く映し出しています。

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