カリスマ (映画)

映画『カリスマ』の概要

『カリスマ』は、1999年に公開された日本映画で、黒沢清が監督と脚本を手掛け、役所広司が主演を務めています。この作品は、黒沢と役所の組み合わせによる作品としては3作目で、特に『CURE』や『ニンゲン合格』といった過去の名作に続く重要な作品です。映画はカンヌ国際映画祭の監督週間部門で1999年5月に初めて上映され、同年の12月には日本に先駆けてフランスで劇場公開されました。そして、日本での初公開は2000年2月26日となりました。

この映画の脚本は、サンダンス・インスティテュートからスカラシップを獲得していたものの、制作が長らく実現しなかったため、実際の内容は当初の構想とはかなり異なるものになっています。物語の着想自体は『インディ・ジョーンズ』に登場する宝を巡る争いから受けた影響があるとされており、映画の核心にある「一本の木」を巡る人々の対立は、一見するとそのアドベンチャー映画とは異なる哲学的で複雑な展開を見せます。

あらすじ

『カリスマ』の物語は、ある青年による人質篭城事件から始まります。この事件を担当した刑事、薮池五郎（役所広司）は、残念な結果を招いてしまい、両方の命を失う結果に終わります。この悲劇から薮池は心に傷を負い、上司から与えられた休暇を利用して森を訪れます。そこで彼が見つけたのは「カリスマ」と呼ばれる不思議な一本の木でした。

この木は周囲の木々を枯らしてしまう毒素を根から分泌し、地元の住人たちはカリスマを伐採するべきだと考える中曽根（大杉漣）を中心に対立が始まります。一方で、カリスマを何とか守ろうとする青年・桐山（池内博之）も存在し、彼は中曽根らの行動に強く反発します。こうして、カリスマを巡って住人たちの対立は次第に激化していくことになります。

スタッフ

映画のスタッフには、監督・脚本に黒沢清、プロデューサーに神野智と下田淳行が名を連ねています。制作総指揮である中村雅哉と池口頌夫のもと、多彩な企画者が関わり、撮影は林淳一郎、編集は菊池純一が担当しました。また、音楽にはゲイリー芦屋が起用されています。

キャスト

主要キャストには役所広司が薮池五郎、池内博之が桐山直人、大杉漣が中曽根敏を演じています。他にも風吹ジュンや洞口依子、松重豊など多彩な顔ぶれが揃い、彼らが物語に深みを加えています。

受賞歴

この作品は第10回日本映画プロフェッショナル大賞で作品賞を受賞しており、その高い評価を裏付けています。

まとめ

『カリスマ』は、ただのエンターテイメント作品ではなく、観る者に深い考察を促す映画です。その難解で多層的なテーマを通じて、黒沢清監督の独自の感性を味わうことができるでしょう。

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