カリバタ英雄墓地

カリバタ国立中央英雄墓地：インドネシア独立の象徴

カリバタ国立中央英雄墓地（Taman Makam Pahlawan Nasional Utama Kalibata）は、インドネシアの首都ジャカルタ南部に位置する、国家的な追悼施設です。この場所は、インドネシア独立戦争で命を落とした将兵や、戦後、祖国のために尽力した元兵士たちが眠る場所として、国民にとって特別な意味を持っています。

概要

インドネシア国内各地には、同様の国立英雄墓地が存在しますが、カリバタ墓地はその中でも特に重要な場所とされています。これらの墓地に埋葬される資格を持つのは、インドネシア独立戦争で顕著な功績を挙げた人々で、その人物の性別、宗教、民族は一切問われません。

カリバタ英雄墓地には、約7千人もの戦没者が埋葬されており、その中には戦後まで生き残った元兵士も含まれています。彼らは亡くなった後、この墓地、または国内の他の英雄墓地に埋葬されることになります。特筆すべきは、葬儀からその後の管理費用まで、すべてが国家によって賄われている点です。

墓地の敷地内は、埋葬者の信仰によって区画が分けられており、イスラム教、キリスト教、仏教など、それぞれの宗教に対応したエリアが設けられています。また、名前が判明していない戦没者のための無名戦士の墓も存在します。

インドネシアにおいて、この英雄墓地に埋葬されることは、最高の栄誉とされています。葬儀には、国防省の代表、国軍の葬儀委員、儀仗兵、軍楽隊が参加し、厳粛な雰囲気の中で執り行われます。

日本人埋葬者

カリバタ英雄墓地には、インドネシア独立戦争に参加した日本人（残留日本兵）で戦死が確認され、遺体が収容された27名が埋葬されています。戦死が確認されたものの名前が判明していない場合は、無名戦士として埋葬されています。

しかし、独立戦争に参加した後、行方不明となった元日本兵も少なくないと推測されています。独立戦争を生き抜いた日本人元兵士には、インドネシアからゲリラ勲章が授与され、英雄墓地に埋葬される権利が与えられますが、本人の希望や書類不備などの理由で、一般の墓地に埋葬されることもあります。

終戦後、インドネシアに残留した日本人たちは、日本人墓地の整備、納骨堂の建設、戦没者の遺骨収集、行方不明者の捜索など、様々な活動を続けています。

日本からの参拝者

カリバタ英雄墓地には、過去に多くの日本の政治家や皇族が訪れ、参拝・献花を行っています。中谷元防衛庁長官（2001年9月）、小泉純一郎首相（2002年1月）、秋篠宮文仁親王・紀子妃（2008年1月）、安倍晋三首相（2007年8月、2015年4月）などがその例です。

特に2015年4月のアジア・アフリカ会議（バンドン会議）60周年の際には、開会式を終えた安倍首相が、インドネシア独立戦争の英雄として知られる日本人、衛藤七男の墓前にも献花しました。

他の英雄墓地

インドネシアには、カリバタ英雄墓地の他にも、多くの英雄墓地が存在します。以下に、その一部を紹介します。

マルガ英雄墓地：バリ島にあり、グスティ・ングラライ将軍率いる義勇軍部隊が全滅した戦闘で亡くなった戦没者や、残留日本兵12名が埋葬されています。毎年11月20日には追悼儀式が行われます。
クスマネガラ英雄墓地：ジョグジャカルタに位置し、スマキ英雄墓地とも呼ばれます。1,914人の戦没者が眠り、その中には残留日本兵6名も含まれています。
* その他の英雄墓地：ボゴール、テビチンギ、チレボン、タシクマラヤ、スラバヤ、PEMATANG SIANTAR、マランなどにも、多数の日本人が埋葬されています。

まとめ

カリバタ国立中央英雄墓地は、インドネシアの独立のために命を捧げた英雄たちが眠る、非常に重要な場所です。この場所は、インドネシアの歴史を語る上で欠かせないだけでなく、独立戦争に協力した日本人との繋がりを示す場所でもあります。この場所を訪れることは、過去の歴史を振り返り、平和への想いを新たにする機会となるでしょう。

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