カルシウムシアナミド

カルシウムシアナミド：性質、製造、用途、安全性

カルシウムシアナミド (化学式: CaCN2) は、別名白色石灰窒素と呼ばれる化合物です。シアナミドのカルシウム塩であり、肥料や農薬として利用される一方で、生物に対して有害な性質を持つため、取り扱いには細心の注意が必要です。

カルシウムシアナミドの製造方法

カルシウムシアナミドの主要な製造方法は、カルシウムカーバイドと窒素ガスを高圧下で反応させる方法です。具体的には、カルシウムカーバイドに窒素分子を2気圧で加熱することで、カルシウムシアナミドが生成されます。この反応は発熱反応であり、一度開始すると自発的に進行します。

化学反応式は以下の通りです。


CaC₂ + N₂ → CaCN₂ + C


反応を促進するために、少量の蛍石(CaF₂)を加える場合もあります。蛍石は触媒として作用しますが、反応後には反応系内に残留しません。この反応によって生成されるのは、カルシウムシアナミドと炭素の混合物です。

反応機構は、まずカルシウムカーバイドが窒素分子を吸着し、中間体であるCaC₂・N₂を形成すると考えられています。その後、この中間体が反応し、カルシウムシアナミドと炭素が生成されます。


CaC₂ + N₂ → CaC₂・N₂ → Ca(CN)₂ → CaCN₂ + C


この方法で得られるカルシウムシアナミドは、炭素の不純物のため、灰色や黒色をしています。純粋なカルシウムシアナミドは白色の固体です。純粋なカルシウムシアナミドを得るためには、炭酸カルシウムとアンモニアを高温で反応させる方法もありますが、これは実験室規模でのみ行われ、工業的には利用されていません。

カルシウムシアナミドの用途

カルシウムシアナミドは、窒素肥料として利用されます。土壌中の微生物によって分解され、植物が利用できるアンモニアが生成されます。また、除草剤としても用いられます。

カルシウムシアナミドの安全性

カルシウムシアナミドは、生物に対して有害な性質を持っています。皮膚や粘膜への刺激性があり、吸入すると呼吸器への障害を引き起こす可能性があります。取り扱いには、保護手袋やマスクを着用するなど、適切な安全対策が必要です。また、廃棄の際も環境への影響に配慮する必要があります。

まとめ

カルシウムシアナミドは、肥料や農薬として有用な化合物ですが、その毒性から安全な取り扱いと廃棄が重要です。製造方法は主にカルシウムカーバイドと窒素の反応によるもので、工業的にはこの方法が主流となっています。純粋なカルシウムシアナミドは白色の固体ですが、製造過程で不純物が混入すると灰色や黒色になることがあります。

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