カルマル戦争

カルマル戦争（カルマルせんそう）は、1611年から1613年にかけて、デンマーク王国とスウェーデン王国の間で展開された大規模な軍事紛争です。この戦争は主にカルマル地方を巡って行われ、両国の歴史に大きな影響を与えました。

背景

この紛争が発生した時代は、ロシアにおける動乱期にありました。スウェーデンは当時、ロシアやポーランド、さらにデンマークからの脅威にさらされていました。特に、ポーランドはスウェーデンと同じヴァーサ王朝の一員として、スウェーデン王位を狙う動きを見せていました。また、デンマークは北方における支配権を強化する目的から国力を増強しようとしていました。このような国際的な緊張が、カルマル戦争を引き起こす一因となったのです。

新国王の即位と干渉戦争

1611年、スウェーデンの新国王グスタフ・アドルフが17歳で即位しました。この新しい君主の治世を脅かしたのが、デンマーク王クリスチャン4世でした。彼は最初にスウェーデンに軍事的な干渉を試み、戦争が勃発することとなりました。この戦争の焦点は、スウェーデン領のカルマル地方にあった主要な要塞でした。

戦争初期、スウェーデン軍は厳しい状況に直面しました。グスタフ・アドルフは即位間もないことから、国軍はまだ弱体であり、経済状況も厳しかったため、国民の間には不満が高まっていました。それに対抗する形で、デンマークは軍備の増強を図り、特に陸軍を強化しました。デンマークはイェータ川河口を占領し、一時は優位に立ちました。

しかし、スウェーデンも反撃を果たし、カルマル地方の支配を確保することに成功しました。結果として、デンマークはスウェーデンの重要な要塞エルヴスボリを落とすことには成功するものの、カルマル地域の完全な領有はかなわなかったのです。

クネレド条約と領土返還

最終的には、1613年にクネレド条約が締結され、この条約によりスウェーデンは多額の賠償金を支払うことで要塞とイェータ川河口の返還に合意しました。スウェーデンはカルマル地方を辛うじて防衛することができた一方で、国際的な名声や信用は低下しました。

スウェーデンの敗因

グスタフ・アドルフの苦戦の背景には、彼の即位直後であったこと、スウェーデン軍の戦力が低下していたこと、有効な国庫の運営が難しかったこと、そして国民の不満が高まっていたことが挙げられます。これらの要因によって、戦局は思わしくなくなりました。

その後、スウェーデンは1612年に宰相に就任したアクセル・オクセンシェルナの外交力を活かし、イングランドを調停者に迎えて領土返還の交渉を進めることに成功しました。彼の巧みな外交交渉が、戦争の終結へと導いたのです。

カルマル戦争は、スウェーデンとデンマークにとって重要な歴史的事件であり、この後の北欧の国際関係においても影響を与える契機となりました。

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