カルロス・アレクシャンドレ・トーレス

アレクシャンドレ・トーレス: サッカー界のレジェンド

アレクシャンドレ・トーレス（Carlos Alexandre Torres）は、1966年8月22日にブラジルのリオデジャネイロで生まれた元サッカー選手である。ディフェンダーとしてプレイし、日本では「トーレス」という名で知られている。彼は、ブラジルサッカー界で最も偉大なディフェンダーの一人とされるカルロス・アウベルトの息子で、サッカーのDNAを受け継いだ選手である。

経歴

CRヴァスコ・ダ・ガマに所属していたトーレスは、チームにおいて中心的な選手として活躍していた。特に1994年にはFIFAワールドカップのメンバーに選ばれていたものの、大会直前に怪我を負い、代表を辞退せざるを得なくなった。この出来事は彼のキャリアにとって悔しい思い出となった。

1995年、名古屋グランパスエイトの監督アーセン・ベンゲルの目に留まり、彼の強い希望によってチームに加入。グランパスは当時、低調な成績に苦しんでいたが、ベンゲルの就任によりチームは一新され、トーレスはディフェンスの要としての役割を果たすことになった。

この年の5月3日に行われたジェフ市原戦では、Jリーグ初ゴールを決め、6月17日のベルマーレ平塚戦では延長戦でVゴールを挙げた。さらに、1996年元日にはサンフレッチェ広島を破り、チームに初の天皇杯タイトルをもたらした。

トーレスはその後も不動のセンターバックとしてチームの堅牢な守備を支えた。彼は敵の攻撃を巧みに封じる守備能力や空中戦の強さを持ち合わせており、Jリーグ屈指のディフェンダーとして名を馳せていた。しかし、2000年にグランパスから契約延長の提案がなく、母国のCRヴァスコ・ダ・ガマがFIFAクラブワールドカップへの参加に向けて選手を補強していたため、トーレスはグランパスを退団する決断を下す。

グランパスでの最後の試合は2000年1月1日の天皇杯決勝で、再びサンフレッチェ広島を相手に2度目の天皇杯優勝を飾った。試合の中で重要なゴールをアシストし、華々しい舞台で引退を飾った。Jリーグでの通算成績は142試合11ゴール、リーグカップでは31試合3ゴールを記録。引退後には、サポーターやチームメイトたちから温かく見送られた出来事について、後年「とても感動した」と振り返っている。

引退後の2003年にはコンサドーレ札幌のコーチとして来日し、指導者としてのキャリアをスタート。2008-09シーズンには、テレビ番組『Foot!』に出演し、代理人業を営んでいることが紹介された。その後も様々な形で日本に関わり、2009年にはグランパスの練習に姿を見せるなど、サッカー界における存在感を示している。また、2013年にはマンチェスター・ユナイテッドの南米エリアのスカウトを務めていたことでも知られる。さらに2019年、雑誌「Number」のアンケートでJリーグでプレーした最強の外国人DF部門で第3位に選ばれ、その実力が証明された。

プレースタイル

トーレスは日本初期にはチームとの連携で苦労する部分もあったが、すぐに自身の実力を示し、チームに大きな貢献を果たした。彼はベンゲルが取り入れた高いディフェンスラインを巧みに統制し、読みの良さと優れたカバーリング、インターセプト能力を持つ選手だった。また、自らボールを持って攻撃に参加する能力も高く、そのスマートなプレーで監督から全幅の信頼を受けていた。トーレスの足技と戦術眼は、彼を特別な存在にしていた。

トーレスの存在は、その後の日本サッカー界におおきな影響を与え、彼のプレースタイルや精神は多くの選手たちに受け継がれている。

もう一度検索