カルロス1世 (ポルトガル王)

カルロス1世の生涯と業績

カルロス1世（1863年9月28日 - 1908年2月1日）は、1889年から1908年までポルトガルの国王として君臨した。彼は「殉難王」（o Martirizado）としても知られ、暗殺された悲劇的な運命を背負っている。父はルイス1世、母はイタリア国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の娘、マリア・ピアである。

即位と統治

カルロスは1863年にリスボンで誕生し、1889年10月19日に即位した。彼の治世は波乱に満ちており、財政運営の甘さや共和派に対する弾圧、私生活におけるスキャンダルが目立った。植民地経営の面では、イギリスとのウィンザー条約を締結し、アフリカ地域の安定に寄与したが、国内政治では困難な局面が相次いだ。1892年と1902年には財政破綻を宣言し、これによって国内の混乱や社会主義者、共和主義者の台頭がもたらされた。

内政におけるカルロス1世の対応は不満を招き、1906年にはジョアン・フランコを首相に任命し、議会を解散することで対処を試みた。しかし、これらの措置は結果的に更なる批判を生むことになった。

暗殺事件

1908年2月1日、カルロス1世は王族たちと共にヴィラ・ヴィソサの宮殿からリスボンへ帰還する途中、アルマダで馬車を利用し、その後テージョ川を船で渡った。この時、カイス・ド・ソードレで上陸し、帰路についた際、コメルシオ広場を通過する際に襲撃を受けた。襲撃者たちは群衆の中から発砲し、カルロス1世は即死し、彼の長男である王太子ルイス・フィリペも致命傷を負った。カルロスの即死から約20分後、ルイス・フィリペも息を引き取った。この20分という短い時間は、元首の最短在位期間として『ギネスブック』に認定されている。次男のベージャ公爵マヌエルもけがを負った。

発砲したのは少なくとも二人の共和主義者であり、彼らは襲撃の後、護衛により殺害された。数日後、マヌエルはブラガンサ朝の最後の国王マヌエル2世として即位した。

家族と私生活

カルロス1世は1886年にアメリア・デ・オルレアンスと結婚し、2男1女をもうけた。彼らの子供には、ルイス・フィリペ（1887年 - 1908年）、マリア・アンナ（1887年生）、マヌエル2世（1889年 - 1932年）がいる。また、カルロス1世には庶子としてマリア・ピア・デ・サクソニア＝コブルゴ＝ブラガンサがいるという噂も存在する。

カルロス1世の生涯は、彼自身の政治的な選択や行動と密接にかかわる困難な状況の中で展開され、その結末は歴史に深い足跡を残した。彼の治世は、ポルトガルの王政の衰退を象徴するものであり、暗殺事件は歴史的な転換点として記憶され続けることだろう。

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