カルロッタ・ジョアキナ・デ・ボルボン

カルロッタ・ジョアキナ：野心的な王妃の生涯

カルロッタ・ジョアキナ（1775年4月/5月 - 1830年1月）は、スペイン王カルロス4世の娘として生まれ、ポルトガル王ジョアン6世の王妃となった人物です。彼女の生涯は、政治的陰謀と絶対王政への強い信念に彩られていました。

生い立ちと結婚

アランフエスで生まれたカルロッタ・ジョアキナは、1785年にブラジル大公ジョアンと結婚し、9人の子をもうけました。子供たちは、後のポルトガルやブラジルの王室、そしてスペインの王位継承者と結びつき、彼女の血筋はヨーロッパの主要な王室に広がっていきました。

マリア・テレザ：スペイン王子・ポルトガル王子ペドロ・カルロスと結婚後、モリナ伯カルロスと再婚。
フランシスコ・アントニオ・ピオ：夭逝。
マリア・イザベル：スペイン王フェルナンド7世の王妃。
ペドロ：ポルトガル王（ペドロ4世）、ブラジル皇帝（ペドロ1世）。
マリア・フランシスカ：モリナ伯カルロスの最初の妻。
イザベル・マリア：ポルトガル摂政。
ミゲル：ポルトガル王。
マリア・ダ・アスンサン：夭逝。
* アナ・デ・ジェズス：ロレ公爵夫人。

政治への関与と絶対王政への信念

カルロッタ・ジョアキナは、政治に積極的に関与する強い意志を持った女性でした。容姿は決して美しいとは言えず、小柄な体格でしたが、その政治的な影響力は非常に大きなものでした。ブラガンサ王家がブラジルに宮廷を移転した際、彼女はラテンアメリカにおけるスペインの支配を模倣した統治を目指しました。

彼女は熱心な絶対王政主義者であり、ナポレオン軍によって故国が侵略され、家族がフランスへ移送されるという状況下で、スペインの王位継承者としての役割を果たそうとしました。

立憲主義との対立

ポルトガルでは、宮廷が不在の14年間、ナポレオンの侵攻の影響から、絶対王政からの脱却と立憲主義を求める声が高まっていました。1820年の自由革命の結果、コルテスで新憲法が採択されました。スペインでも同様の革命が1812年に起こっていました。

帰国後、夫であるジョアン6世が新憲法を遵守することを宣言したのに対し、カルロッタ・ジョアキナは「神から与えられた王権」を手放すことに強く反対しました。王が一度約束したことを覆すことを拒否すると、彼女は三男のミゲルをポルトガル王にしようと画策しました。

1824年、ミゲルが元帥に任命され軍を掌握すると、王妃は王子と共謀して王を幽閉しようとしました。しかし、イギリスの介入によりジョアン6世は全権を回復し、ミゲルは国外追放となりました。カルロッタ・ジョアキナ自身も、一時的に蟄居を命じられました。

最期

ジョアン6世が病に倒れると、彼は後継者として、ブラジル皇帝となっていた長男ペドロ1世が帰国するまでの摂政に、四女のイサベル・マリアを指名しました。通常であれば、王妃が摂政を務めるのが慣例でしたが、ジョアン6世はカルロッタ・ジョアキナの野心を警戒し、最後まで彼女を摂政にすることを避けたのです。

カルロッタ・ジョアキナは、シントラのケルス宮殿でその波乱に満ちた生涯を閉じました。彼女の政治的な野心と絶対王政への信念は、ポルトガルとブラジルの歴史に大きな足跡を残しました。

もう一度検索