カルロビッツ数

カルロビッツ数：火炎の伸展を測る指標

カルロビッツ数(Ka)は、流体力学の分野で用いられる無次元数の一つです。この数値は、火炎がどのように伸びていくのか、その伸展の度合いを表す指標として非常に重要です。その名称は、火炎の伸展に関する研究で大きな貢献をしたBéla Karlovitzに由来しています。

カルロビッツ数は、以下の式で計算されます。

Ka = (gu σ) / vg

ここで、

Ka：カルロビッツ数（無次元）
gu：流体の流れの速度勾配（s⁻¹）これは、流体の速度が空間的にどの程度変化しているかを示す指標です。値が大きいほど、流れの変化が急激であることを意味します。
σ：炎の予熱帯の厚み(m) これは、火炎の反応が実際に起こる領域の厚さです。予熱帯は、燃焼が始まる前に燃料と酸化剤が混合し、温度が上昇する領域です。この厚みが小さいほど、火炎はよりコンパクトに燃焼します。
vg：気体の流れる速度(m/s) これは、火炎周囲の気体の速度です。この速度が速いほど、火炎はより早く伸びていきます。

これらのパラメータから算出されるカルロビッツ数は、火炎の挙動を特徴づける重要な指標となります。例えば、カルロビッツ数が大きい場合、火炎は急速に伸展し、燃焼効率や排出ガス成分に影響を与える可能性があります。逆に、カルロビッツ数が小さい場合は、火炎の伸展が緩やかになり、安定した燃焼が維持される傾向があります。

カルロビッツ数の応用

カルロビッツ数は、様々な燃焼現象の解析に用いられています。具体的には、以下の様な場面で活用されています。

燃焼器設計: 燃焼器内部の火炎挙動を予測し、効率的な燃焼器設計を行うために用いられます。
火災安全: 火災の発生時における火炎の挙動を予測し、火災安全対策を立てるために利用されます。
内燃機関: エンジンの燃焼室内部での火炎伝播を解析し、エンジンの性能向上に役立てられます。
* 環境保全: 燃焼プロセスにおける汚染物質の生成メカニズムを解明し、環境負荷低減のための技術開発に貢献します。

まとめ

カルロビッツ数は、火炎の伸展という複雑な現象を簡潔に表現する強力なツールです。流体の速度勾配、炎の予熱帯の厚み、気体の流速といったパラメータを組み合わせることで、火炎の挙動を定量的に評価し、様々な燃焼現象の解析や予測に役立てることができます。そのため、燃焼工学や流体力学の分野において、重要な役割を果たしていると言えます。

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