カルロ・デル・プレーテ

カルロ・デル・プレーテは、1897年8月21日にイタリア王国のフィヴィッツァーノで生まれ、1928年8月16日に亡くなった、海軍の将校にして傑出したパイロットです。彼は特に、航空黎明期における長距離飛行の分野で顕著な功績を残し、中でもアルトゥーロ・フェラーリンとの共同による記録樹立で知られています。

トスカーナ地方の由緒ある家柄に生まれたデル・プレーテは、幼くして海軍士官学校へ進みました。在学中に勃発したイタリア・トルコ戦争では、北アフリカのリビア戦線に従軍。その後、第一次世界大戦が開戦すると、彼はアドリア海で戦艦「ジュリオ・チェザーレ」に乗務し、戦渦を経験しました。また、イタリア初の航空母艦となるべく検討されていた「アキア」の建造計画にも関わっています。1918年には、詩人であり愛国者としても知られるガブリエーレ・ダンヌンツィオ率いる水雷艇部隊による、オーストリア海軍の拠点フィウメ近郊のブッカリ湾への奇襲作戦、通称「ブッカリの嘲り」にも一員として参加するなど、その経歴の初期は海軍軍人としての任務に捧げられました。

大戦終結後、デル・プレーテは航空分野、特に飛行艇の操縦へとその活動を移しました。彼は卓越した操縦技術を持ち、当時の長距離飛行記録への挑戦者として頭角を現します。1927年には、著名な飛行士であるフランチェスコ・デ・ピネードと共に、サヴォイア・マルケッティ S.55飛行艇「サンタ・マリア号」に搭乗し、セネガルのダカールから大西洋を横断する飛行を成功させました。さらに翌1928年には、アルトゥーロ・フェラーリンと組んで、サヴォイア・マルケッティ S.64という特注機でさらなる記録に挑戦します。彼らはまず、周回飛行による飛行距離7,666キロメートルという世界新記録を樹立。この偉業に続き、彼らは南大西洋の無着陸横断飛行を決行。イタリアのモンテチェーリオを出発し、ブラジルのナタールまでの7,188キロメートルを、見事ノンストップで飛び切りました。この驚異的な飛行は、当時の航空技術の限界を押し広げるものであり、彼らは到着地のブラジルで国民的な英雄として熱狂的な歓迎を受けました。

しかし、輝かしい南大西洋横断飛行の成功からわずか1ヶ月余り後、悲劇は突然訪れました。ブラジル滞在中に、カルロ・デル・プレーテはサヴォイア・マルケッティ S.62での飛行中に重大な事故に見舞われたのです。負傷した彼はリオデジャネイロの病院へ緊急搬送され、懸命な治療が施されましたが、その甲斐なく、1928年8月16日、31歳の誕生日を目前にして息を引き取りました。

海軍将校としてキャリアを始め、飛行士として航空史に残る偉業を達成したカルロ・デル・プレーテの生涯は、情熱と冒険に満ちていましたが、あまりにも短いものでした。彼のパイオニア精神と記録への挑戦は、後世の航空技術発展に大きな影響を与えたことでしょう。

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