カレリア労働コミューン

カレリア労働コミューン

カレリア労働コミューンは、1920年6月8日から1923年7月25日まで、現在のカレリア共和国の位置に存在した、ロシア社会主義連邦ソビエト共和国内の自治地域です。このコミューンは、複雑な政治的背景と民族的な問題を抱えながら誕生し、短期間ながらも重要な役割を果たしました。

前史

1919年秋、フィンランド共産党の政治局員であったエドヴァルド・ギュリングは、フィンランド内戦での赤軍の敗北後、カレリア労働コミューン設立に関する提案をウラジーミル・レーニンに提出しました。その提案の根底には、以下の3つの主要な目的がありました。

1. カレリア人の自治国家欲求の充足: カレリアの人々が抱く自治への願望に応えることで、地域社会の安定を図る。
2. フィンランドの領土主張の無効化: 東カレリアを社会主義国家として組織することで、フィンランドによる領土主張の根拠をなくす。
3. スカンジナビア諸国への革命輸出の足掛かり: 社会主義国家を建設することにより、北欧諸国への革命の波及を促す。

これらの目的を達成するために、ギュリングはカレリアに社会主義国家を建設することを提案したのです。

形成

1920年6月8日、全ロシア中央執行委員会の命令により、カレリア労働コミューンは正式に発足しました。このコミューンは、オロネツ県とアルハンゲリスク県のカレリア人が多く居住する地域を基盤としていました。

コミューンの一時的な最高機関として、カレリア革命委員会が設立されました。この委員会は、ギュリング（委員長）、ヴァシリー・クジエフ、ヤッコ・マキの3名で構成され、コミューンの初期運営を担いました。

1920年10月14日、ソビエト・フィンランド間でタルトゥ平和条約が締結され、第一次ソビエト・フィンランド戦争が終結しました。この条約により、フィンランドはカレリアの2つの国境地域であるレボルスカヤとポロソゼルスキをソビエトに割譲しました。ソビエト政府はこれらの地域をコミューンに組み込み、その領域を拡大しました。

解体

1921年2月11日から19日にかけて、第1回全カレリア・ソビエト大会が開催されました。この大会は、カレリア労働コミューンにおける最初の憲法上の最高権力機関として重要な役割を果たしました。大会には144名の代表が出席し、コミューンの将来について議論が交わされました。

大会では、コミューンの最高権力機関としてカレリア州ソビエト執行委員会の結成が採択されました。25人の執行委員が選出され、初代議長にはギュリングが選ばれました。この委員会が、コミューンの実質的な行政と政策を担うことになりました。

そして1923年7月25日、全ロシア中央執行委員会および人民委員会議の布告第51号により、カレリア労働コミューンは自治カレリア社会主義ソビエト共和国へと移行しました。この移行は、コミューンの自治権をさらに拡大し、より強固な国家体制へと発展させるためのものでした。

カレリア労働コミューンは、その短い存在期間にもかかわらず、カレリア地域の歴史において重要な足跡を残しました。その設立は、民族自決、社会主義革命、そして周辺諸国との外交という複雑な要素が絡み合った結果であり、その後の自治カレリア社会主義ソビエト共和国へと繋がる重要なステップとなりました。

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