カワサキ・GPz400

カワサキ GPz400：空冷4気筒エンジンの魅力と歴史

カワサキGPz400は、1983年に川崎重工業が製造した中型オートバイです。Z400GPの後継機種として登場し、空冷エンジン搭載モデルとしてはGPzシリーズの最終モデルという位置づけになります。GPzシリーズは、空冷エンジンのGPz400のような小文字表記から、水冷エンジン搭載車種ではGPz900/750R初期を除き大文字表記へと移行しています。本稿では、カワサキの公式資料に倣い「GPz400」と表記します。

空冷4気筒エンジンの最後の輝き

GPz400は、Z400GPをベースに開発されましたが、単なる改良ではなく、エンジン、車体、スタイリングなど多くの点で進化を遂げています。最大の特徴は、空冷4気筒エンジンを搭載している点です。当時、空冷4気筒エンジンは、その力強さと独特のサウンドで多くのライダーを魅了していましたが、時代の流れとともに水冷エンジンへと移行しつつありました。GPz400は、まさにそんな空冷4気筒エンジンの最後の輝きを放つモデルと言えるでしょう。

エンジンは、Z400GPのエンジンをベースとしながらも、ボア・ストロークを最適化することで、最高出力を向上させています。具体的には、52 × 47 mmから55 × 42 mmへのショートストローク化により、最高出力は48psから51psに向上しました。また、吸排気系などの改良も加えられています。

車体には、Z400GPから引き継いだユニトラックシステムを採用したモノショックリアサスペンションを搭載しています。また、フレームマウントのアッパーカウルを装備しながらも、車重はZ400GPと同じ187kgに抑えられています。軽量で扱いやすい車体とパワフルなエンジンは、GPz400の魅力の一つと言えるでしょう。

GPz400FとGPz400F-II：バリエーションモデル

GPz400は、発売から間もなくマイナーチェンジモデルのGPz400Fが登場しました。GPz400Fは、最高出力が54psに向上し、車重も178kgとさらに軽量化されています。また、GPz400F-IIは、GPz400Fからアッパーカウルを取り除いたネイキッドモデルとして1984年に発売されました。これらのバリエーションモデルは、ユーザーの多様なニーズに応えるものとして、GPz400シリーズの幅を広げました。

1985年には後継機種となるGPZ400Rが登場していますが、GPz400FおよびGPz400F-IIは、国内販売が継続され、1990年まで販売されました。さらに、輸出仕様として、GPz550という排気量拡大版も存在しました。これらモデルは、GPz400の成功をさらに拡大させたと言えるでしょう。

モデル一覧とスペック

以下に、GPz400シリーズのモデル一覧と主なスペックを示します。

GPz400 (ZX400-A1): 1983年発売。最高出力51ps、車重187kg
GPz400F (ZX400-A2, A3, C4, C5): 1983年発売。最高出力54ps、車重178kg。輸出仕様も存在。
* GPz400F-II (ZX400-C1, C2, C3): 1984年発売。ネイキッドモデル。輸出仕様も存在。

GPz400シリーズの遺産

GPz400シリーズは、カワサキのオートバイ史において重要な位置を占めるモデル群です。空冷4気筒エンジンの最後の輝きを放つGPz400、そして多様なニーズに応えたGPz400FとGPz400F-IIは、多くのライダーに愛され、日本のモーターサイクル文化に大きな影響を与えました。そのスタイリングや性能は、現在でも多くのファンを魅了し続けています。また、後継モデルであるGPZ400Rへの発展的役割も担っており、カワサキの技術開発史における重要なマイルストーンとなったと言えるでしょう。

参考文献として、1983年および1984年当時のメーカーカタログが挙げられます。これらの資料は、GPz400シリーズの歴史をより深く理解する上で貴重な情報源となります。

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