カワサキ・KDX

川崎重工業KDXシリーズ：2ストロークオフロードバイクの系譜

1979年、川崎重工業は空冷2ストローク400ccのKDX400を発表し、KDXという名を冠したオフロードバイクの系譜が始まりました。その後、KDXシリーズは2ストロークエンジンを搭載したエンデューロモデルとして発展を続け、多くのライダーから愛される存在となりました。

KDXシリーズの大きな転換期となったのは、1980年のKDX175の米国発売です。モトクロッサーKX125をベースに開発されたこのモデルは、たちまちベストセラーとなり、KDXシリーズの成功を確固たるものとしました。この成功を受けて、1981年にはKDX250とKDX420が、翌年にはKDX200が発売されました。KDX200はKDX175をベースに排気量を上げたモデルでしたが、1985年には排気デバイスKIPSを搭載した「空冷KDX」が登場し、大きな進化を遂げます。この空冷KDXは、翌1986年に日本で販売が開始されました。

1988年には、空冷エンジンから水冷エンジンへと進化したKDX200Rが登場し、翌年には公道走行可能なKDX200SRが発売されました。その後、KDXシリーズは125SR、220R/SR、250R/SRと排気量のバリエーションを増やし、KIPSエンジンを搭載したモデルが多数展開されました。このKDX200R/SRの発売以降、日本の競技用エンデューロ車両には「R」、公道用デュアルパーパス車両には「SR」の名称がつけられるようになりました。

しかし、環境規制の強化により、KDXシリーズは生産終了を迎えました。カワサキの2ストロークオフロードバイクは、小排気量の競技用車両のみとなり、4ストローク車両と共にKXシリーズに統合されました。公道用車両は、4ストロークエンジンのKLXシリーズへと引き継がれていきました。

主要モデルの詳細

KDX200SR: 1989年に発売されたKDX200SRは、市販エンデューロマシンKDX200Rをベースに開発されました。水冷化とKIPSの採用により、35psを発揮するパワフルなエンジンを搭載。高い人気を博し、翌年にはフロントフォークを倒立式に変更するモデルチェンジが行われました。その後、KDX250Rにバトンタッチする形で日本での販売は終了しましたが、輸出仕様では220Rのボアダウン版であるKDX200Rの生産が続けられました。

KDX250SR: 1991年に発売されたKDX250SRは、200cc以上の排気量を求める声に応える形で開発されました。40psのエンジン出力を誇り、装備は200SRとほぼ同一でした。日本での販売は他のモデルよりも早く終了しましたが、4ストロークエンジンのKLX250SRに受け継がれました。KDX250Rは輸出仕様がその後も生産されました。

KDX125SR: KMX125の後継として1991年に発売。エンデューロ仕様の「R」は存在せず、モトクロッサーKX125を公道仕様に仕立てたモデルでした。1999年に日本の排出ガス規制強化により販売終了となりましたが、海外ではその後も販売が続きました。125ccエンジンは、東南アジア地域で販売されたKR150Rにも使用されました。

KDX220SR: KDX-SRシリーズ最後の2サイクル単気筒モデル。216ccエンジンを搭載し、乾燥重量105kgと軽量ながら37psのハイパワーを誇りました。「125並みの車格に250並みのエンジン」というバランスが評価されました。1999年の排出ガス規制により日本での販売は終了しましたが、競技用車両のRは海外でしばらく販売されました。

輸出モデル

日本国外では、保安部品を装着することで公道走行が可能な地域が多いため、競技用車両の「R」モデルがそのまま輸出されることも多くありました。KDX50、125、200、220、250、300、400など、国内で販売されていた「R」仕様を含む様々なモデルが輸出され、一部車両では「SR」仕様も輸出されていました。

KDXシリーズは、そのパワフルな2ストロークエンジンと高い走行性能で多くのライダーを魅了しました。環境規制という時代の流れの中で生産終了となりましたが、その歴史と魅力は、多くのライダーの記憶に深く刻まれています。そして、その技術は後継モデルであるKLXシリーズへと受け継がれ、現在も進化を続けています。

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