カワサキ・VN800バルカン

カワサキVN800バルカンシリーズ：アメリカンバイクの系譜

カワサキ重工業が1995年から2007年にかけて製造販売した、人気を博したクルーザータイプのオートバイ、VN800バルカンシリーズ。本稿では、その魅力と歴史を詳細に解説します。VN800シリーズは、同社のバルカンシリーズの中でも重要な位置を占め、その洗練されたデザインと力強いエンジン性能で多くのライダーを魅了しました。

シリーズ概要：Vツインエンジンの魅力

VN800バルカンシリーズは、400ccモデルと共通の車体設計を基に、力強い55度V型2気筒エンジンを搭載したことが大きな特徴です。このエンジンは、低回転から力強いトルクを生み出し、ゆったりとしたクルージングに最適なフィーリングを提供しました。また、シリーズ全体を通して、スポークホイールが採用されており、クラシカルなアメリカンバイクらしい風格を醸し出しています。

しかし、バルカン400に存在したフラットハンドル仕様は、800ccモデルには採用されませんでした。これは、車体のバランスやデザインコンセプトの差異によるものと考えられます。

2007年には、後継モデルとなるバルカン900シリーズが登場したことに伴い、生産を終了。短い期間ではありましたが、日本のモーターサイクル史にその名を刻んだモデルと言えるでしょう。

主要モデル：個性豊かな3つのバリエーション

VN800シリーズは、大きく分けて3つのモデルが存在しました。それぞれに異なる個性があり、ライダーの好みに合わせた選択が可能でした。

VN800A バルカン: シリーズの基本モデル。前輪21インチ、後輪16インチのスポークホイールを装着し、バランスのとれた走行性能を誇ります。1996年から1997年にかけては日本国内でも販売されました。

VN800B バルカンクラシック: よりクラシカルなスタイルを追求したモデル。前輪と後輪ともに16インチのスポークホイールを採用し、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。1996年から2000年まで日本国内で販売されました。

VN800C バルカンドリフター: より個性的なスタイルを好むライダーに向けたモデル。前輪と後輪ともに16インチのスポークホイールを採用し、スポーティな要素も取り入れています。日本国内では1999年にのみC1型が販売されました。

各モデルの仕様と歴史：年式による変遷

各モデルは、年式によって細かな仕様変更が繰り返されました。例えば、エンジンやフレームの改良、電装系のアップデートなどが行われ、常に進化を遂げていました。以下に、各モデルの年式と型式をまとめます。

VN800A バルカン:
1995年：VN800-A1
1996年：VN800-A2
1997年：VN800-A3
1998年：VN800-A4
1999年：VN800-A5
2000年：VN800-A6
2001年：VN800-A7
2002年：VN800-A8
2003年：VN800-A9
2004年：VN800-A10
2005年：VN800-A11

VN800B バルカンクラシック:
1996年：VN800-B1
1997年：VN800-B2
1998年：VN800-B3
1999年：VN800-B4
2000年：VN800-B5
2001年：VN800-B6
2002年：VN800-B7
2003年：VN800-B8
2004年：VN800-B9
2005年：VN800-B10

VN800C バルカンドリフター:
1999年：VN800-C1
2000年：VN800-C2
2001年：VN800-E1
2002年：VN800-E2
2003年：VN800-E3
2004年：VN800-E4
* 2005年：VN800-E5

VN800バルカンシリーズの遺産：現代への影響

VN800バルカンシリーズは、その力強いエンジンと洗練されたデザインで多くのライダーを魅了し、日本のモーターサイクル文化に大きな影響を与えました。そのデザインやコンセプトは、後継モデルや他社のバイクにも受け継がれ、現在でもその影響を見ることができます。 今日では、中古市場でも根強い人気を誇り、多くの愛好家によって大切に乗り継がれています。このシリーズは、単なるオートバイではなく、時代を彩った一台として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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