カワサキ・Z1000

カワサキZ1000：時代を彩った名車とその進化

カワサキZ1000は、カワサキ重工業（現カワサキモータース）が長きに渡り製造してきたロードスポーツバイクです。1970年代後半から2020年代初頭にかけて、空冷エンジンモデルと水冷エンジンモデルが展開され、それぞれの時代で高い人気を博しました。本稿では、Z1000の歴史と各モデルの特徴を詳しく見ていきましょう。

空冷時代：Z1000AとZ1000J

1970年代後半に登場した空冷エンジンのZ1000は、Z1/Z900の後継モデルとして誕生しました。Z1000A（1976年発売、北米仕様はKZ1000）は、Z1/Z900の基本設計を踏襲しつつ、ボアアップや強化クランクシャフトなど、各部がブラッシュアップされたモデルです。フレームの強化も施され、信頼性が向上しました。特徴的な4本出しマフラーから2本出しマフラーに変更されたことや、リアブレーキのディスク化なども外観上の大きな変化でした。

Z1000Aは、型式とフレーム・エンジンナンバーからZ1とは別車種とされています。派生モデルとして、Z1-Rやクルーザー仕様のKZ1000LTDも存在しました。A1、A2とモデルチェンジを重ね、1978年にはZ1000MKII（A3）へと進化しました。

Z1000MKIIの後継として1980年に発売されたZ1000Jは、スズキGS1000の登場を刺激として、Z1以降の改良による肥大化を見直したモデルです。新設計のフレームとブラッシュアップされたエンジンは、レースレギュレーションに合わせ998ccとされました。1000cc超えを予定していた開発経緯から、姉妹車としてZ1100GPも登場しています。Z1000Jは、エディ・ローソンがAMAスーパーバイクシリーズで優勝したレーサーマシンのベースとなったことや、そのレプリカであるZ1000R（ローソンレプリカ）のベースとなったことで有名です。また、世界耐久選手権でも活躍しました。J1からJ3とモデルチェンジを重ね、1983年モデルではメーター類が変更されました。

水冷時代：Z1000(2003年-2022年)

2000年代に入ると、カワサキは水冷エンジンのZ1000を発売しました。2003年発売の初代モデル（I型）は、Ninja ZX-9Rのエンジンをベースに、全く新しい車体で開発されました。スーパースポーツエンジンのストリートスポーツというコンセプトは、当時話題となったヤマハFZ1と共通するものでした。デザインは過去モデルを意識せず、斬新なスタイルが特徴です。特徴的な4本出しマフラーは、往年のZシリーズを彷彿とさせます。当初は「ザンザス900」という名称で噂されていましたが、空冷モデルの商標権の問題から「Z1000」として発売されました。輸出モデルが中心で、日本市場への導入はありませんでした。

2007年にはフルモデルチェンジされたII型が発売されました。デザインイメージは継承しつつ、フレームを始め車体全体が新設計されました。エンジンはI型をベースに改良されました。このモデルも日本市場への導入はありませんでした。

2010年には、更にフルモデルチェンジが行われ、D型が発売されました。ヘッドライトユニットの大型化、アンダーカウルの装備、液晶メーターの採用などが特徴です。また、この年から海外市場向けにZ1000SX（欧州）やNinja 1000（東南アジア・北米）も販売されました。

2014年には、大幅なモデルチェンジが行われたZ1000が発売されました。LEDヘッドライトやハザードランプスイッチの採用など、現代的な装備が加わりました。その後、2022年頃まで販売が継続されましたが、大きな変更は加えられず、2023年現在、生産終了したものと考えられています。

まとめ

カワサキZ1000は、空冷モデルから水冷モデルへと進化を遂げながら、長きに渡り愛され続けてきた名車です。それぞれのモデルが時代の技術とデザインを反映し、独自の個性を持ち合わせています。Z1000の歴史を辿ることは、バイク史の一端を垣間見ることにも繋がります。

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