カワサキ・Z750

カワサキZ750シリーズ：Z1000をベースとした輸出モデル

カワサキZ750は、川崎重工業が製造・販売した輸出市場向けのオートバイです。2004年モデルとして登場し、2007年にフルモデルチェンジ、その後2010年には派生モデルのZ750Rも発表されました。ベースモデルであるZ1000と多くの部品を共有しながらも、価格を抑え、独自の個性を持つモデルとして人気を博しました。

Z750 (2004-2006): Z1000の弟分

Z750は、2003年に発表されたZ1000をベースに開発されました。Z1000のエンジンをボアダウンした750ccの水冷エンジンを搭載し、軽量化とコスト削減を両立。正立フロントフォークや集合マフラーを採用することで、スポーティな走りを提供しました。Z1000よりも低い価格設定が魅力で、多くのライダーに手が届くモデルとして人気を誇りました。カラーバリエーションも豊富で、オリエンタルブルーやサンビームレッドなど、魅力的なカラーがラインナップされていました。日本市場への投入はされませんでした。

Z750S (2005-2007): ツーリング性能を強化

Z750Sは、Z750をベースにツーリング性能を強化したバリエーションモデルです。ハーフカウル、一体型シート、そして特徴的なグラブバーが装備され、タンデム走行や長距離走行の快適性を向上させました。しかしながら、スタイル優先の小振りなハーフカウルは風防効果が限定的でした。Z750よりもマイルドなデザインは幅広い層に受け入れられましたが、販売状況は芳しくなく、Z750のフルモデルチェンジを機に生産終了となりました。

Z750 (2007-2008): フルモデルチェンジ

2007年にはZ750がフルモデルチェンジを行い、第二世代モデルが登場しました。Z1000と同時にモデルチェンジされたことで、倒立フロントフォークなどをZ1000と共通化。Z1000と同様に排ガス規制への対応が行われましたが、最大出力は若干低くなりました。これは、Z1000との差別化や、規制への対応の難しさなどが影響していると考えられています。カラーバリエーションは、アトミックシルバーやエボニーなど落ち着いたカラーが採用されました。

Z750R (2010-): スポーティさを追求

2010年には、Z750Rが発表されました。フロントカウルやテールライトのデザイン変更に加え、Z1000と同じフロントフォークやスイングアーム、ラジアルマウントキャリパーを採用することで、よりスポーティな走りを追求しました。メーターパネルも変更され、Z750とは異なるスポーティな印象を与えています。ABSモデルも設定されましたが、日本市場への正規輸入は行われず、一部の並行輸入業者によって販売されました。

Z800 (2012-): 新たなステップ

2012年には、Z800が発表されました。Z750シリーズの後継モデルという位置付けではないものの、Z750シリーズの系譜を受け継ぐモデルと言えるでしょう。日本市場への正規輸入は行われていません。

まとめ

カワサキZ750シリーズは、Z1000をベースにしながらも、独自の個性と魅力を備えたモデル群でした。コストパフォーマンスの高さ、スポーティな走り、そして豊富なカラーバリエーションは、多くのライダーを魅了しました。Z750、Z750S、Z750R、そしてZ800と、それぞれのモデルが異なる特徴を持ち、時代の変化に合わせて進化を遂げた歴史は、カワサキの技術力と開発力の高さを示しています。

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