カワサキ・Z800

カワサキZ800：Zシリーズの中核を担ったネイキッドモデル

カワサキモーターサイクル&エンジンカンパニー（現カワサキモータース）によって製造・販売されたZ800は、806cc排気量を誇るネイキッドタイプのオートバイです。2012年10月、ドイツのケルンで開催されたインターモト2012で発表され、人気シリーズZシリーズの後継モデルとして大きな注目を集めました。

Z750の後継モデルとして、排気量アップによるパワー向上はもちろん、デザイン面でも多くの進化を遂げています。特徴的なのは、精悍な印象を与える睨みつけるような形状のヘッドライトと、点灯時にZの文字が浮かび上がるLEDテールランプです。シートにもZのロゴをあしらった専用デザインを採用し、Zシリーズとしてのアイデンティティを明確に打ち出しています。

メーターパネルは視認性に優れた3分割液晶デジタルメーターを採用。中央には縦型のバータイプタコメーター、左には水温計、時計、オドメーター／トリップメーター、右にはスピードメーター、燃料計、瞬間燃費／平均燃費／航続距離を表示するマルチディスプレイを配置。ライダーにとって必要な情報を的確に表示することで、快適なライディングをサポートします。

また、安全面にも配慮がなされており、モデルチェンジに伴いハザードランプスイッチが初装備されました。これは、安全運転に貢献する重要な機能追加と言えるでしょう。さらに、ABS（アンチロックブレーキシステム）装備車と非装備車の2種類を用意。ライダーの好みに応じた選択が可能です。

市場のニーズに対応するため、Z800にはいくつかのバリエーションモデルが存在しました。2013年からの欧州免許制度に適合した、パワーを抑えた35kW/70kWモデルのe versionや、アクラポビッチ製マフラーを採用し、外装も変更されたPerformance仕様などが提供されました。これらのモデルは、標準モデルとは異なるデザイン上の特徴を持ち、より多様なライダー層のニーズに対応しました。

Z800は、日本国内ではなくカワサキタイランドで生産されました。2015年7月時点でのタイ国内価格は、THB375,000（日本円にして約1,358,000円）でした。これは、当時の為替レートによるものであり、価格は変動する可能性があります。

2018年には、Z800の後継モデルとしてZ900が発表されました。Z800は、Zシリーズの歴史において重要な役割を担ったモデルであり、そのスタイリッシュなデザインと高い走行性能は、多くのライダーから支持されました。Zシリーズの進化における重要なマイルストーンとして、今後も記憶に残る一台と言えるでしょう。

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