カワトンボ科

カワトンボ科（Calopterygidae）

カワトンボ科は、トンボ目イトトンボ亜目に分類される昆虫の一群です。日本を含む東アジアを中心に生息し、清流やその周辺で見られる美しいトンボとして知られています。

特徴

カワトンボ科のトンボは、一般的に細長い体と幅広い翅を持ちます。翅の色や模様は種によって異なり、金属光沢を持つものや、透明感のある翅を持つものもいます。オスはメスよりも鮮やかな色彩を持つことが多く、求愛行動の際に美しい翅を広げてアピールします。

日本に生息するカワトンボ

日本には、カワトンボ亜科（Calopteryginae）に属する以下の種が生息しています。

アオハダトンボ属（Calopteryx）

アオハダトンボ (Calopteryx japonica):
青緑色の金属光沢を持つ美しいトンボです。オスは特に鮮やかな色彩を持ち、メスはやや地味な色合いです。渓流沿いの水辺に生息し、飛び方も優雅です。
ハグロトンボ (Calopteryx atrata):
全身が黒色のシックなトンボです。成熟したオスは翅も黒色になり、非常に特徴的な外見をしています。日陰を好み、薄暗い渓流などで見られます。
ミヤマカワトンボ (Calopteryx cornelia):
アオハダトンボに似ていますが、より山地の渓流に生息しています。オスは青色の金属光沢を持ち、メスは緑色を帯びています。

タイワンハグロトンボ属（Matrona）

リュウキュウハグロトンボ (Matrona japonica):
沖縄県に生息する固有種で、ハグロトンボに似ていますが、やや小型です。森林内の渓流で見られ、貴重な存在です。

カワトンボ属（Mnais）

ニホンカワトンボ (Mnais costalis):
オスは翅の色が赤色や橙色など、地域によって異なる色彩変異が見られます。メスは翅が透明で、地味な色合いです。平地から山地にかけての様々な環境に生息します。
アサヒナカワトンボ (Mnais pruinosa):
ニホンカワトンボによく似ていますが、オスの翅に白い粉を吹いたような模様があるのが特徴です。比較的寒冷な地域に生息しています。

クロイワカワトンボ属（Psolodesmus）

クロイワカワトンボ (Psolodesmus kuroiwae):
南西諸島に生息する固有種で、黒褐色の翅を持つやや大型のカワトンボです。森林内の渓流に生息し、他のカワトンボとは異なる独特の雰囲気を持っています。

生態

カワトンボ科のトンボは、主に水生昆虫や小型の昆虫を捕食します。幼虫は水中で生活し、ヤゴと呼ばれます。ヤゴは肉食性で、他の水生昆虫や小動物を捕食して成長します。成虫は、水辺の植物にとまって休息したり、飛び回りながら獲物を探したりします。繁殖期には、オスはメスに求愛し、交尾を行います。メスは水草などに産卵し、次の世代へと命をつなぎます。

環境問題と保護

カワトンボ科のトンボは、水質汚染や河川改修などの環境変化に弱い種が多く、生息地の減少が懸念されています。特に、固有種や地域個体群は、その地域特有の遺伝子を持つ貴重な存在であり、保護の重要性が高まっています。生息環境の保全や水質改善など、様々な取り組みが必要です。

関連項目

ミナミカワトンボ科
* イトトンボ

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