カンザスシティの虐殺

カンザスシティの虐殺

カンザスシティの虐殺、またはカンザスシティ虐殺事件は、1933年6月17日にミズーリ州カンザスシティのユニオン駅前で発生した深刻な銃撃事件です。この事件では、逮捕中の囚人を救出しようとした3人のギャングが銃を乱射し、連邦捜査官と警察官を含む5人が死亡しました。

事件の背景

この事件は、アメリカで有名な銀行強盗であるフランク・ナッシュの逮捕に関連しています。ナッシュは、同業者に隠れ家を暴露されてアーカンソー州で逮捕された後、捜査局（後のFBI）によってレブンワース刑務所へ移送されることになりました。この情報はカンザスシティのマフィアに漏れ、ナッシュの元仲間ヴァーノン・ミラーが襲撃を指揮しました。

事件は1933年6月17日、朝7時15分に行われ、晴れ渡った空の下で進行しました。ナッシュは変装をしており、彼を警護する捜査官たちは合計7人で構成されていました。駅舎から外に出たその時、突如として襲撃者による銃撃が始まります。

銃撃事件の経過

カンザスシティのユニオン駅前には、警察の車が2台停まっていました。そこに、襲撃者が飛び出し、銃撃を開始しました。ナッシュは危機感からかつらを取り去り、「おれだ！撃つな！」と叫びましたが、状況は絶望的でした。約30秒間にわたる銃撃でナッシュは即死し、4人の捜査官も次々と命を落としました。生き残った数名も重傷を負い、現場は混乱に陥りました。

実行犯の特定

事件から約2週間後、FBIはヴァーノン・ミラー、チャールズ「プリティボーイ」・フロイド、アダム・リチェッティの3名が実行犯であると発表しました。ミラーはシカゴに逃亡し、その後暗殺される結果となります。一方、フロイドとリチェッティは捜査の手から逃れようとしましたが、最終的にはフロイドが射殺され、リチェッティも逮捕されて死刑にされました。

FBIの変遷

この事件は捜査局の権限拡大の契機となりました。当時の捜査局は逮捕権を持っておらず、警察との連携が不可欠でしたが、この惨劇を経て、捜査官に逮捕権が与えられるようになり、FBIはその後、より強力な捜査機関として進化しました。

捜査への疑い

事件の真相については様々な説があります。フロイドとリチェッティが実行犯であるとの見解が広まる一方で、他の証言や情報からマフィアとの深い関係が示唆されています。事件現場にいた証人の中には、実際の犯人が別の人物であると証言する者もあり、真相は未だに定かではありません。

この事件は、アメリカにおけるギャングとの戦い、法執行機関の権限拡大、さらには捜査手法の進化といった重要なテーマを含む歴史的な出来事として、後世に語り継がれています。

もう一度検索