カンニング・モンキー 天中拳

カンニング・モンキー/天中拳

『カンニング・モンキー/天中拳』（原題：一招半式闖江湖）は、1978年に製作され1980年に公開されたジャッキー・チェン主演のカンフー・コメディ映画です。この作品は、主にカンフー映画が武術の厳しい訓練や師弟の関係を描く中で、独自のアプローチを持つことが特徴です。ジャッキーは、1970年代に「第二のブルース・リー」として期待されながら、俳優としての自分らしさを見失い苦悩する時期にこの映画を製作しました。

概要

デビュー以来、ヒット作に恵まれず、自らのスタイルに合わないイメージを押し付けられていたジャッキー・チェンは、若いスタッフたちと協力し、楽しくも刺激的なカンフー映画を生み出しました。本作では、武術の訓練がほとんどない主人公が、無数の「カンニングペーパー」を利用してその場の状況に応じた戦いを繰り広げるストーリーが展開されます。このような斬新なアイデアは、カンフー映画のスタイルを大きく変えるものでした。また、作品内には『ポパイ』のテーマ曲を用いたり、座頭市の演舞シーンを模したりするなど、さまざまなパロディとユーモアが含まれています。

完成試写でロー・ウェイは本作を気に入らず、公開を見送っていましたが、ジャッキーは後に自伝の中でこの映画に対する思いを語り、「レンタルする価値がある」と自信をもって伝えています。

ストーリー

物語の主人公であるコウは、遊廓「杏春楼」で雑用係として働くことになりますが、実はそこが盗賊団「五毒党」の隠れ家だと知ってしまいます。運命的に遭遇した賞金稼ぎと賞金首の戦いに巻き込まれる中、彼は思わず武器を奪い取り、賞金稼ぎになりすまします。途中出会った風太郎からカンフーの型を教わるも、初めは非力さに悩むコウ。しかし、幾度となく襲い掛かる強盗団との戦いを通じ、彼は「カンニングペーパー」を利用して武術を次第に学んでいきます。

さらに、マオ大人という存在が彼の前に現れ、秘薬を巡る護送計画や仲間に関する真実が明らかにされていきます。数々の闘争の中でコウは武術の名人として成長していき、最後には、冷酷な敵たちを打ち負かすヒーローへと変貌を遂げます。

キャストと影響

この映画にはケン・ロビンソン、柳如龍といった多彩なキャストが参加していますが、特にジャッキー・チェンの魅力が際立つキャラクターたちが多く描かれています。本作は彼のキャリアの中で独特の位置を占めており、以降の映画作りやスタイルに影響を与えました。

日本での公開

日本では1983年に「伊賀野カバ丸」との併映で公開され、10億4000万円もの配給収入を上げる記録的ヒットとなりました。この映画は多くのファンを魅了し、「カンニング・モンキー」という名はジャッキー・チェンの代表作の一つとして定着しています。

今もなお、多くの映画ファンに愛され続ける『カンニング・モンキー/天中拳』は、ジャッキー・チェンのファンにとって必見の作品です。

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