カンパニュラ

カンパニュラ (Campanula spp.)

カンパニュラは、キキョウ科ホタルブクロ属に分類される植物の総称であり、特に地中海沿岸地域を原産とする種から改良された観賞用植物として広く知られています。カンパニュラとは、本来はホタルブクロ属のラテン名（学名）に由来します。

名前の由来

カンパニュラの名前は、ラテン語で「釣り鐘」を意味する言葉から来ており、その花の形が釣り鐘に似ていることに由来します。英語では「bell flower」と呼ばれますが、この英名を持つ植物は10種類以上存在します。

和名の「ホタルブクロ（蛍袋）」は、その名の通り、蛍を捕まえて花の中に入れるとちょうど良い大きさであることから名付けられました。また、「釣鐘草」や「提燈花」といった別名もあり、いずれも花の形状が袋状であることにちなんでいます。

性状

カンパニュラは、北半球の温帯から冷帯にかけて広く分布しており、その種類は全部で300種ほどに及びます。これらの植物はすべて草本であり、その大半は多年草ですが、一年草または二年草のものも少数存在します。草丈は30cmから2m程度まで様々です。ロゼット状の根生葉を持ち、茎につく葉は互生します。葉の形も多様です。

開花時期は晩春から夏にかけてのものが多く、総状花序または穂状花序を形成し、釣り鐘型の3cmから8cm程度の花を数輪から数十輪咲かせます。花色は青や紫、白が一般的ですが、ピンク色のものも見られます。花の咲き方も様々で、横向きに咲くものが多いですが、受け咲きや下向きに咲くものもあります。ヨーロッパやアメリカの園芸辞典には50種以上が掲載されていますが、日本で栽培されているのはそのうちの数種類です。

栽培種

代表的な栽培種としては、以下のものがあります。

リンドウザキカンパニュラ (C. glomerata)
北欧から中央アジア、シベリアにかけて広く分布する多年草です。草丈は約50cmで、5月から9月にかけて花を咲かせます。変種の Campanula glomerata var. glomerata はハナヤツシロソウとして知られています。
フウリンソウ（風鈴草）(C. medium)
カンパニュラの中でも特に人気のある植物です。草丈は2mほどになる二年草ですが、秋に種をまいて翌春に開花する一年草として改良された品種も存在します。花色は青紫、藤色、ピンク、白などがあり、適切に育てると花径10cm近い花が数十輪咲き誇ります。標準和名は「フウリンソウ」ですが、園芸業界では「ツリガネソウ（釣鐘草）」と呼ばれることが多いです。
モモバギキョウ（桃葉桔梗）(C. persicifolia)
草丈30cmから50cm程度の多年草です。葉の先端が3つに裂けており、桃の葉に似ていることからこの和名が付けられました。花色は明るいものが多く、八重咲きの品種も存在します。
オトメギキョウ（乙女桔梗）(C. portenschlagiana)
初夏に花を咲かせる常緑性の小型多年草です。花期は4月から5月で、草丈は10cmから15cmほど。小さな濃い緑色の葉を多数つけ、茎は根元から密に枝分かれして直径30cmから40cmほどのクッション状の茂みになります。それぞれの枝先に1輪から数輪の花をつけます。

栽培

カンパニュラは園芸店で種がよく販売されていますが、夏の高温多湿に弱いため、東京よりも温暖な地域では栽培が難しいとされています。繁殖は実生によって行われ、種まきは4月または9月が適しています。栽培する上で最も重要なのは、水はけの良い環境を用意することです。

その他

カンパニュラ (小惑星)
この植物にちなんで名付けられた小惑星が存在します。

外部リンク

カンパニュラ・メディウムとは｜育て方がわかる植物図鑑 - みんなの趣味の園芸（NHK出版）

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