カンピオナート・アルタ・イタリア 1944

カンピオナート・アルタ・イタリア：戦火が生んだ幻の選手権

カンピオナート・アルタ・イタリア（Campionato Alta Italia）は、1944年に開催されたイタリアのサッカー選手権大会です。しかし、第二次世界大戦という未曽有の事態が、この大会を特別なものにしました。戦禍によって全国的な開催が困難となり、イタリア北部地域のみが参加する、幻の選手権となったのです。

大会開催の背景

当時イタリアは、ナチス・ドイツとイタリア社会共和国の支配下にありました。参加したのは、ピエモンテ州、リグーリア州、ロンバルディア州、ヴェネト州、フリウリ＝ヴェネツィア・ジュリア州、エミリア＝ロマーニャ州といった、北部地域のクラブのみでした。イタリア中部や南部は連合軍によって占拠されており、物理的に往来が不可能だったため、参加することができなかったのです。

大会の流れ

大会は、まず各州ごとに1次ラウンドが行われました。

ピエモンテ州とリグーリア州
ロンバルディア州
タイブレークも実施
ヴェネト州
グループA、グループBに分かれて実施
フリウリ＝ヴェネツィア・ジュリア州
エミリア＝ロマーニャ州
グループA、グループB、グループC、グループDに分かれて実施

1次ラウンドを勝ち抜いたクラブは、2次ラウンドに進出しました。

グループA：ピエモンテとロンバルディア
グループB：ヴェネトとフリウリ＝ヴェネツィア・ジュリア
グループC：エミリア＝ロマーニャ

2次ラウンドを突破したクラブによって、決勝ラウンドが争われました。

スペツィアの優勝とスクデット問題

この大会で優勝したのは、VVFスペツィアでした。しかし、大会の特殊な性質から、長らくその優勝は正当なものとして認められませんでした。[イタリアサッカー連盟]は2002年まで、スペツィアのスクデット（優勝の証）を認定しなかったのです。現在では、スペツィアの優勝を「タイトルに準じるもの」として扱い、その功績を認めています。

大会の意義と歴史的背景

カンピオナート・アルタ・イタリアは、第二次世界大戦という時代が生み出した、特殊な大会でした。全国的な選手権大会とは言えないものの、戦火の中でサッカーを愛する人々の情熱が、確かにそこには存在しました。この大会は、イタリアサッカーの歴史における、重要な１ページとして記憶されるべきでしょう。

関連項目

イタリア戦線 (第二次世界大戦)

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