カンプチア王国民族連合政府

カンプチア王国民族連合政府について

カンプチア王国民族連合政府（GRUNK）は、1970年から1976年まで存在したカンボジアの亡命政府であり、カンボジア民族統一戦線と元国家元首シハヌークの支持者、そしてカンボジア共産党（広くクメール・ルージュとして知られる）の連携によって設立されました。この政府は、1975年から1976年にかけてカンボジアを統治し、その政治的背景は非常に複雑です。

政府の設立

1970年にロン・ノル首相などによってシハヌークが追放されると、彼は北京に到着し、民族統一戦線の設立を宣言しました。この反乱は、シハヌークがクーデターの直後に町中に呼びかけたことで始まりました。彼がカンボジア国内で復権を目指す中で、共産主義者と手を組む決断をしたのは、アメリカの介入やロン・ノルへの復讐心に駆られたためであるとも言われています。

5月に正式に発表されたグンクは、中国の認可を得て、その後の国際的支持を求めました。この政府は、各地の農民たちの支持を獲得し、シハヌークという名前の重みを借りて急速に力をつけていきました。

政府の構成

カンプチア王国民族連合政府の首脳部にはシハヌークが元首として君臨し、法律家かつ中道派のペン・ヌートが首相に就任しました。彼らは政治顧問や防衛大臣などの地位に賢明な人々を取り入れ、農民たちの支持を集めました。軍事力としてはカンボジア人民民族解放軍（CPNLAF）が存在しましたが、指揮権はシニア・レベルのクメール・ルージュに委譲されていたため、内部の摩擦が高まっていました。

権力の変遷

1973年にはカンボジア人民解放軍が攻勢を強化し、シハヌークが「解放地区」を訪問しましたが、その際に感じた歓迎とは裏腹に、彼の権力はますます危うくなっていました。クメール・ルージュ内部ではシハヌークの権威に対する批判や反発も高まり、最終的には彼の地位を脅かす行動が取られるようになりました。

プノンペン陥落とその後の混乱

1975年、クメール・ルージュは首都プノンペンを制圧し、シハヌークは一時的に北朝鮮に避難しました。しかし、中国の周恩来の助言により、再び帰国することになります。この帰国は形式的ではありましたが、シハヌークを待ち受けていたのは恐ろしい現実でした。

1976年にクメール・ルージュが彼を自宅軟禁する形で権力を掌握し、その後「民主カンプチア」が設立されます。シハヌークは国際的な立場を失い、彼を支持していた人々も多数が処刑される運命をたどることになります。

シハヌークのその後

シハヌークは後にクメール・ルージュとの関係を断ち、国連での講演を通じて、彼らが大量虐殺者として扱われるよう求めました。1982年には、クメール・ルージュとの新たな連合政府に参加するものの、その名声は地に落ちたままでした。また、彼の支持者や仲間たちが多くの困難を迎え、その命を落とす中、彼自身も波乱の道を歩むことになりました。

このように、カンプチア王国民族連合政府は短命であったものの、その設立過程や運営は、カンボジアの政治情勢に多大な影響を与え続けました。

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