カヴィール砂漠

カヴィール砂漠について

カヴィール砂漠（Dasht-e Kavīr）は、イラン北部のイラン高原に位置する巨大な砂漠で、別名「塩砂漠」とも呼ばれています。この砂漠の面積は非常に広大で、全長は約800km、幅は320kmにも及びます。テヘラン大都市圏の南東部に広がり、その南東側にはさらにルート砂漠が続いています。そのため、アフガニスタン、パキスタン、そしてインドへと広がる広大な砂漠地域へのアクセスが可能です。

この地は、古代から重要な通商路として使われており、歴史的な旅人であるマルコ・ポーロもこの砂漠を横断したことが知られています。彼の旅は、当時の交易や文化の交流に大きな役割を果たしました。

気候と環境

カヴィール砂漠の夏季には非常に高温になり、最高気温は50℃に達することがあります。一方、冬季の1月でも平均気温は22℃程度と、ハードな気候が特徴です。また、降水量は極めて少なく、乾燥した大地が広がっています。しかし、この砂漠には砂礫だけでなく、湿原や湖、ワジ（涸れ谷）も存在しています。これらは、嵐によって形成された高さ40mの砂丘によって時折観測される理由にもなっています。

西側にはナマク湖（Daryacheh-ye Namak）、つまり「塩湖」という名の湖があり、テヘランからおよそ100km離れた場所に位置しています。この湖は、カヴィール国立公園の一部として環境保護が行われています。この国立公園は約4,000平方kmの広さを持ち、多様な生態系が広がります。

生物多様性

カヴィール砂漠とその周辺の塩湖盆地には、中央アジアに典型的な乾燥地および半乾燥地のステップ草原が広がっており、205種の植物が生息しています。動物相も豊かで、31種の哺乳類、131種の鳥類、20種の爬虫類、さらに1種の両生類が確認されています。特に、この地域はオナガーの重要な生息地としても知られていますが、1970年代以降の狩猟が影響し、個体数は著しく減少しました。

1976年には、ユネスコにより生物圏保護区に指定され、環境保護活動が積極的に行われています。このように、カヴィール砂漠はただの乾燥地ではなく、多様な生物が共存する独特の生態系を持つ貴重な地域です。

この砂漠の自然環境や生物多様性は、訪れる人々に感動を与えるだけでなく、地球の歴史を物語っています。

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