カービングターン

カービングターンの概要

スキー技術の中でも特に注目されるカービングターンは、パラレルターンに分類される技術です。この技術では、スキー板をズラさずに滑ることが求められ、雪面をしっかりと捉えながら雪を切り進むスタイルが特徴です。

技術的な背景

カービングターンを成功させるためには、ターンを開始する際に脚を内側に傾けることが重要です。ここでは、意図的な荷重や外力を活用し、スキー板を曲げて曲面を作ります。この際、両方のスキー板のエッジが雪面にしっかりと切り込むことで、ターンの基盤が築かれます。

さらに、肩幅のスタンスで両足に均等に荷重をかけることがポイントで、内スキーを浮かせたり振ったりせず、常に両方の板が雪に接触した状態を保ちながら、緩やかに曲がっていきます。これにより、スキッディングターンと比較して制動要素が少なく、高速滑走が可能になります。

かつてこの技術は非常に難易度が高く、1990年代までは限られたスキーヤーのみが習得していましたが、カービングスキーの普及により、多くの一般スキーヤーでも実践できるようになりました。

「カービング」とは

ここでの「カービング」という用語は、「彫り込む」という意味を持ちます。特にカービングターンによる雪面のシュプールが彫刻刀で彫り込んだように見えることからこの名が付けられました。

実践における注意点

ただし、完全なカービングターンができる条件は限られています。主に圧雪された大会バーンや、安全が確保されたゲレンデでの条件が必要です。実際の滑走では、スキッディングターンを組み合わせて滑る場面が多く見られます。

指導方針の変化

過去には全日本スキー連盟（SAJ）がカービングターンを重視し、「楽なスキー」を目的として内倒技術を推奨していました。しかし、現在では、この技術においても外脚荷重が重要視され、ターン時には上半身をターン外に屈曲させる「『く』の字」姿勢が再び導入されています。この姿勢は、脚をほぼ揃えた状態で外脚に荷重をかける技術を基本としています。

この方針は、スキーバッジテストやSAJ公認の指導員検定、全日本スキー技術選手権大会など、基礎スキー指導や技術審査に参加する際に重要視されている一方、通常の滑走時に内倒したカービングターンを行うことは禁止されているわけではなく、実際の滑走現場では内倒したカービングターンを行うスキーヤーも見受けられます。

まとめ

カービングターンはスキーの技術の中でも進化を遂げた重要な技術であり、理解と習得が進むことで、より多くのスキーヤーが楽しむことができるようになっています。技術の難しさを乗り越え、カービングターンの魅力を味わうことができる機会を多くの人に提供したいものです。

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