カービン銃ギャング事件

カービン銃ギャング事件

1954年6月に発生したカービン銃ギャング事件は、アプレゲール犯罪の一環として位置づけられる強盗事件です。この事件では、カービン銃を使用した複数の犯罪者が、保安庁の会計係長とその配偶者を脅迫し、監禁するという shockingな展開が繰り広げられました。

事件の概要

事件は1954年6月13日、東京都新宿区にある主犯の兄の家で始まりました。強盗犯たちは、保安庁技術研究所の係長夫妻を銃を使って脅し、監禁しました。翌日の6月14日には、7枚の小切手合計1750万円相当を作らせ、その一部である95万円余を横浜銀行で現金化しました。さらに、6月16日には監禁場所を西荻窪に移し、残る金銭を得るために係長を連れて出かけることになりますが、その際に係長は友人と会話中、隙を見て有楽町交番に駆け込み保護を求めました。これにより、事件が公に発覚しました。

警察の捜査と逮捕

事件を受けて、警視庁は係長夫妻からの事情聴取を実施、その結果、過去に強盗の前科がある元保安庁隊員のK・O（以後Oと呼称）に注目を集めました。Oはその体格や手口が事件の犯人と一致していたため、全国に指名手配されました。6月22日、主犯のOと共犯者のAは富山市で逮捕されました。

7月5日には、共犯Bも浅草の旅館で捕まりましたが、さらに同じくBと共に行動していたCは一時逃亡するものの、その後自首します。そして、元東映女優であるOの愛人と共に逃げ続けていたOは、7月21日に大分県の住吉屋で逮捕されました。事件に使用されたカービン銃は、後に延岡駅の鉄道荷物の中から発見されました。

裁判とその後

その後の捜査によって、Oは他にも熱海市での殺人罪に問われることとなり、起訴されました。1958年6月7日、東京地裁は彼に死刑を言い渡しましたが、Oは控訴し、最終的に東京高裁で無期懲役に減刑されました。その後、最高裁に上告しましたが、これを取り下げ履行することとなりました。Oは25年間の服役を経た後、1978年に仮釈放されます。

著書と映画化

出所後、Oは自身の体験を著書としてまとめました。著作には「さらばわが友―実録・大物死刑囚たち」や「絞首への道」などがあり、前者は映画化もされています。特に、彼の生涯や犯罪に関するストーリーは、映画やドキュメンタリーとして多くの人々に知られることとなりました。

事件の影響

このカービン銃ギャング事件は、当時の日本社会における犯罪の深刻さや、それに対する法的対応の必要性を改めて浮き彫りにしました。また、Oの生い立ちや犯罪との関わりを描いた数々のメディア作品は、犯罪心理や社会の暗い側面についての議論を喚起する契機となりました。この事件は、単なる強盗事件を超え、日本の司法制度や社会問題についての重要なテーマを提供しているといえるでしょう。

もう一度検索