カールトン・テレビジョン

カールトン・テレビジョンの歴史と変遷

カールトン・テレビジョンは、かつてロンドンとその周辺地域をカバーしていたITVフランチャイズ局です。現在はITVロンドンの一部として、ITV plcによって運営されています。1993年から2002年まで独立した放送局として存在し、その後ITVネットワークに統合されました。この記事では、カールトン・テレビジョンの設立から現在に至るまでの歴史、番組編成、他局との合併、そしてブランドの変遷について詳しく解説します。

設立の背景

1985年、マイケル・グリーン率いるカールトン・コミュニケーションズは、テムズ・テレビジョンの買収に失敗しました。その後、ITVフランチャイズの入札に参加し、1991年のサイレントオークションでロンドン地域の放送権を獲得しました。このオークションでは、テムズ・テレビジョンとCPV-TVも入札に参加しましたが、カールトンが最も高い現金入札額を提示したため、フランチャイズを獲得しました。この結果、一部からはテムズが政府の報復を受けたという声も上がりましたが、公正な結果だったという意見もありました。

カールトンは、テムズのスタジオを買収せず、ウエスト・エンドに本社を設置し、LWTのロンドン・スタジオから放送を行うことにしました。また、番組制作を外部の制作会社に委託する方針を取りました。

開局と初期の放送

1993年1月1日、カールトン・テレビジョンは放送を開始しました。最初の番組は、クリス・タラントが司会を務める『A Carlton New Year』でした。最初のコマーシャルには、ボクスホール・カールトンの広告が使われました。

放送内容と批判

1994年、独立テレビジョン委員会（ITC）は、カールトンを含む多くのITV加盟局の番組内容を批判しました。カールトンの番組は、「印象的でもなく、特徴的でもない」と評価され、番組の質と多様性の欠如が指摘されました。また、ITCは、カールトンとグラナダが『News at Ten』を密かに打ち切ろうとした動きを阻止しました。

カールトンは、批判に対し「初年度に43の新シリーズと20の新番組を立ち上げ、視聴者レベルを維持し、ITVネットワークで十分な役割を果たした」と反論しました。その一方で、同年の王立テレビジョン協会の賞では、『グッド・セックス・ガイド』と『オールド・ベア・ストーリーズ』が受賞しました。

ITCは、1994年と1995年のレビューで、カールトンの事実とドラマ制作の改善を求め、子供向け番組は評価したものの、革新が不足していると指摘しました。『グッド・セックス・ガイド』は、教育的な分類が欠如しており、好みと品位の要件に違反したとして、2度の警告を受けました。

ドキュメンタリーの不正確さ

1998年、カールトンはドキュメンタリー『The Connection』における事実の不正確さで大きな論争に巻き込まれました。この番組はヘロインの密輸ルートを追う内容でしたが、ガーディアン紙による報道で、制作上の捏造が明らかになりました。カールトンの内部調査の結果、ガーディアンの主張がほぼ正しいことが判明し、ITCはカールトンに200万ポンドの罰金を科しました。この事件は、ドキュメンタリー制作における倫理的な問題と真実性に関する議論を呼びました。

拡張と合併

メディア所有権に関する法律が改正されたことで、カールトンはセントラル・インディペンデント・テレビジョン、ウェストカントリー、HTVの一部を買収しました。さらに、ITCエンターテインメントとその旧姉妹会社であるATVのアーカイブ権、および740本の映画を含むランク・フィルム・ディストリビューターズも買収しました。カールトンは、HTVを除く地域を「カールトン」としてブランド変更しました。

1997年には、カールトンはグラナダ、BスカイBと共同で地上デジタルネットワークのマルチプレックスに入札し、成功しました。しかし、BスカイBが撤退したため、サービス「OnDigital」が開始されました。

2002年9月、カールトンとグラナダはイングランドとウェールズの全てのフランチャイズを統合し、ブランドを「ITV1」に統一しました。地域IDは地域番組に先行するのみとなり、地域アナウンスはロンドンから事前録音されるようになりました。

2004年2月2日、カールトン・コミュニケーションズplcはグラナダplcと合併し、ITV plcを設立しました。これにより、「ITV1」ブランドでイングランドとウェールズの全てのITVフランチャイズが所有されることになりました。カールトンの3つの地域は、地域番組を放送する前に、かつての名称に戻されました。

ITVロンドン

2002年10月28日以降、カールトン・テレビジョンは、ITV1（ロンドン・ウィークデイズ）として放送されています。ロンドン・ウィークエンド・テレビジョンと合併し、現在ではITVロンドンとして運営されていますが、法的には別個のライセンスを持つ存在です。

合併後、カールトン制作の番組は「グラナダ」としてブランド化されました。2006年以降、ITV plcが所有する地域で制作された番組は、ITVプロダクションズとしてブランド化され、後にITVスタジオとなりました。

スタジオと制作

カールトンは、自社で番組を制作することはなく、制作を外部の制作会社に委託していました。スタジオが必要な場合は、セントラル・インディペンデント・テレビジョンのノッティンガムスタジオを利用していました。

カールトンの本社はセント・マーティンズ・レーンにあり、送信はLWTと共同で運営していました。2004年にITV plcが設立された後、カールトンのオフィスは閉鎖され、運営はザ・ロンドン・スタジオに移管されました。

ブランド・アイデンティティ

カールトンの画面上のアイデンティティは、設立当初から何度か変更されました。

1993年: ロンドンの人々をフィーチャーしたIDで、明るい背景にカールトンのロゴが表示され、「This is Carlton, television for London」というフレーズが使われました。
1995年: 半透明のカールトンのロゴが画面中央に表示され、色の背景が変更されるIDに変更されました。
1996年: ランビー・ネアンがデザインした、鮮やかな色の背景にカールトンのロゴがアニメーションで表示されるIDに刷新されました。
1999年: ハート型のオープニングフィルムを特徴とするIDになり、番組に応じて様々なバージョンが制作されました。

コンティニュイティ・アナウンサー

カールトンは何年にもわたって多数のコンティニュイティ・アナウンサーを起用していました。

ネットワークと地域番組

カールトンは、多くのネットワーク番組を制作しました。ロンドンのローカルニュースや情報番組については、ロンドン・ニュース・ネットワークが担当していました。

その他の事業

1996年から2003年の間、カールトンは複数の追加チャンネルを所有していました。これらのチャンネルは、アナログケーブルやOnDigitalで放送されましたが、Sky Digitalには到達しませんでした。ほとんどのチャンネルは資金難と視聴者不足のため閉鎖されました。チャンネルにはカールトン・シネマ、カールトン・セレクト、カールトン・ワールド、カールトン・キッズ、カールトン・フード・ネットワークがありました。

カールトン・シネマ: 古典映画を放送するチャンネルでしたが、2003年に閉鎖されました。
カールトン・セレクト: エンターテインメントチャンネルで、カールトン・フード・ネットワークと時分割で放送され、2000年に閉鎖されました。
カールトン・ワールド: 一般的な娯楽チャンネルで、カールトン・キッズと時分割で放送され、2000年に閉鎖されました。
カールトン・キッズ: 子供向けチャンネルで、カールトン・ワールドと時分割で放送され、2000年に閉鎖されました。
* カールトン・フード・ネットワーク: 料理専門チャンネルで、カールトン・セレクトと時分割で放送され、2001年後半に閉鎖されました。

カールトン・テレビジョンは、その変遷の歴史の中で、ロンドン地域に多様な番組を提供し、ITVネットワークの重要な一部を担ってきました。現在ではITVロンドンの一部として、その歴史が受け継がれています。

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