カール・ニールセン国際音楽コンクール

カール・ニールセン国際音楽コンクール

カール・ニールセン国際音楽コンクールは、デンマークのオーゼンセを舞台に開催される、国際的な若手音楽家のためのコンクールです。デンマークが誇る作曲家、カール・ニールセンの名前を冠しており、その記念碑的な事業として位置づけられています。

コンクールの歴史は1980年に始まりました。当初はヴァイオリン部門のみで開催されていましたが、その後、フルート部門、クラリネット部門、そしてオルガン部門が追加され、一時期はこれら4つの楽器を対象としていました。特に、ヴァイオリン、フルート、クラリネット部門では、参加者にカール・ニールセン自身の協奏曲が課題曲として課されるのが特徴的でした（オルガン部門では「コンモツィオ」が指定されていました）。しかし、後にオルガン部門は王立デンマーク音楽アカデミーが主催する別のコンクールとして独立し、現在はヴァイオリン、フルート、クラリネットの3部門が主要な対象となっています。

このコンクールは、1981年には権威ある国際音楽コンクール世界連盟（WFIMC）に加盟しており、その国際的な評価と信頼性を確立しています。世界中から才能ある若手音楽家たちが集まり、技術と表現力を競い合う場として重要な役割を果たしています。

これまでの開催では、多くの優れた演奏家がこのコンクールを経て国際的なキャリアを築いています。以下に、過去の主な開催年における上位入賞者の一部をご紹介します。

1980年（第1回 ヴァイオリン部門）
第1位：キャサリン・ウィンクラー（アメリカ）
第3位：村田穂積（日本）
1984年（第2回 ヴァイオリン部門）
第1位：矢口統（日本）
1988年（第3回 ヴァイオリン部門）
第1位：アレクセイ・コチヴァネッツ（ソ連）
第3位：服部譲二（日本）
1992年（第4回 ヴァイオリン部門）
第1位：ニコライ・シェプス＝ズナイダー（デンマーク）
第2位：ジェニファー・コー（アメリカ）
第3位：ペッカ・クーシスト（フィンランド）
1996年（第5回 ヴァイオリン部門）
第1位：アデーレ・アンソニー（オーストラリア）
第2位：マリン・ブロマン（スウェーデン）、ヤーッコ・クーシスト（フィンランド）
1997年（第1回 クラリネット部門）
第1位：スピローズ・モウリキス（ギリシャ）
1998年（第1回 フルート部門）
第1位：カール=ハインツ・シュッツ（オーストリア）
第2位：瀬尾和紀（日本）
1999年（ヴァイオリン部門・ニューヨーク開催）
第1位：レオール・マルティンスキ（イスラエル）
第2位：松山冴花（日本）
2000年（第6回 ヴァイオリン部門）
第1位：田野倉雅秋（日本）
2001年（第2回 クラリネット部門）
第1位：アレクサンダー・フィッターシュタイン（アメリカ）
2002年（第2回 フルート部門）
第1位：ピルミン・グレール（ドイツ）
2004年（第7回 ヴァイオリン部門）
第1位：クン・ヒュクジョ（韓国）
2005年（第3回 クラリネット部門）
第1位：オリヴィエ・パテイ（フランス）
子供の審査員賞：田中香織（日本）
2006年（第3回 フルート部門）
第1位：アレクサンドラ・グロット（ロシア）
2008年（ヴァイオリン部門）
第1位：ラチャ・アヴァネシアン（アルメニア）
第2位：林悠介（日本）
2009年（クラリネット部門）
第1位：オッリ・レッパニエミ（フィンランド）
2010年（フルート部門）
第1位：アドリアナ・フェレイラ（ポルトガル）
2011年（オルガン部門）
第1位：フィリップ・シュミット＝マドセン（デンマーク）
2012年（ヴァイオリン部門）
第1位：オルガ・ヴォルコヴァ（ロシア）
第2位：ニクラス・ヴァレンティン（デンマーク）
2013年（クラリネット部門）
第1位：セルゲイ・エレツキー（ロシア）
第2位：マティアス・クラー（デンマーク）
2014年（フルート部門）
第1位：セバスチャン・ジャコー（ポルトガル）
第2位：太田幸江（日本）
2016年（ヴァイオリン部門）
第1位：イ・ジユン（韓国）、リヤ・ペトロヴァ（ブルガリア） ※共同受賞
第4位：城戸かれん（日本） ※共同受賞
2019年（ヴァイオリン部門）
第1位：ユーハン・ダーレネ（スウェーデン）
2019年（フルート部門）
第1位：ジョゼフィーヌ・オレシュ（フランス）
2019年（クラリネット部門）
第1位：ブラーツ・スパロヴェツ（スロベニア）
2022年（ヴァイオリン部門）
第1位：ハンス・クリスチャン・アーヴィク（エストニア）、ボーダン・ルッツ（ウクライナ） ※共同受賞
2022年（フルート部門）
第1位：アルベルト・ナヴァーラ（イタリア）
第2位：キム・ソヨン（韓国）
2022年（クラリネット部門）
第1位：オレグ・シェバタ゠ドラガン（ウクライナ）

上記の入賞者のほかにも、各回で才能豊かな音楽家たちが多数入賞しており、それぞれのキャリアの重要な一歩を踏み出しています。コンクールの詳細な結果や情報は、公式ウェブサイトにて公開されています。若い演奏家にとって、国際的な舞台で自らを試し、成長するための貴重な機会を提供し続けるコンクールです。

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