カール・ベルナドッテ

カール・ベルナドッテ：波乱に満ちたスウェーデン王子の生涯

カール・グスタフ・オスカル・フレドリク・クリスティアン・ベルナドッテ（1911年 - 2003年）は、スウェーデンの王族であり、エステルイェートランド公の称号を有していました。しかし、彼の人生は、1937年の貴賤結婚によって大きく変わります。王族の身分を失い、ベルナドッテ公を名乗ることになった彼の生涯は、スウェーデンの歴史においても特異なものとして語り継がれています。

生い立ちと家族

カールは、スウェーデン王オスカル2世の息子ヴェステルイェートランド公カールと、デンマーク王フレゼリク8世の娘インゲボーの間に生まれました。彼の姉たちは、それぞれノルウェーとベルギーの王室に嫁いでおり、ヨーロッパの王室間の繋がりを示す存在でもありました。

家族からは「ムッレ」という愛称で呼ばれ、親しまれていました。母親は彼に「サムエル」という名前を付けたがっていましたが、王族の名前にふさわしくないとして却下されたというエピソードも残っています。

王族の身分を失う

1937年、カールはローゼン伯爵夫人エルザと結婚しました。しかし、エルザは王族の血を引いていなかったため、カールは王位継承権と王族の身分を放棄せざるを得ませんでした。この結婚は、当時のスウェーデン社会に大きな衝撃を与えました。

義兄にあたるベルギー王レオポルド3世は、カールにベルギー貴族としての爵位「ベルナドッテ公」の称号を与え、彼の男系子孫にはベルナドッテ伯爵の称号が認められました。これにより、カールは新たな身分を得て、人生を歩むことになります。

結婚と離婚

カールはエルザと1951年に離婚した後、1954年にアン・ラーションと再婚しましたが、1961年に再び離婚。1978年にはクリスティーネ・リヴェルスルッドと3度目の結婚をしました。彼の結婚生活は、決して平穏なものではありませんでした。

フースビ事件

1950年代後半、カールはフースビ事件と呼ばれるスキャンダルに関与し、スウェーデン国内で大きな注目を集めました。彼は、スウェーデン南部の広大な所領を持つイギリス人女性フローレンス・スティーヴンスから、違法な資産移譲によって財産を受け取っていたとされています。この事件により、スティーヴンスは破滅し、カールは法廷に引き出されることになりました。

カールは罪を自白しましたが、裁判所は彼を精神異常と判断し、罪を問える状態ではないとして釈放しました。この判決は、多くの人々に疑問を投げかけ、議論を呼びました。

その後

裁判後、カールはスウェーデンを出国し、スペインで余生を送りました。2003年、彼はスペイン南部のマラガで亡くなりました。

第二次世界大戦の和平工作

カールは、第二次世界大戦中に日本と連合国間の和平工作にも関与していました。スウェーデン公使館附武官であった小野寺信と協力し、スウェーデン王室を仲介者として和平交渉を進めようとしました。この活動は、NHK特集で取り上げられ、カールのインタビューも放送されました。

子女

最初の妻エルザとの間には、娘マデレーンがいます。彼女はベルナドッテ伯爵夫人の姓を名乗っています。

まとめ

カール・ベルナドッテの生涯は、王族としての生い立ちから、貴賤結婚による身分の喪失、スキャンダルへの関与、そして国際的な和平工作への貢献など、波乱に満ちたものでした。彼の人生は、スウェーデンの歴史における特異な一例として、今も語り継がれています。

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