ガジュツ

ガジュツ：ウコンとは異なる薬用植物

ガジュツ（学名：Curcuma zedoaria）は、ショウガ科ウコン属に属する多年草です。紫ウコンや夏ウコンといった別名でも知られていますが、一般的に知られるウコン（秋ウコン、ターメリック、学名：Curcuma longa）や春ウコン（キョウオウ、学名：Curcuma aromatica）とは異なる植物です。地域によっては、沖縄でムラサキウッチン、屋久島でガゼツと呼ばれ、英語ではゼドアリー (zedoary) あるいはホワイトターメリック (white turmeric)、タイではマハーメークという名称で呼ばれています。

ガジュツの原産地はマレーシア、インド、ヒマラヤ地方とされ、日本には享保年間（1716～1736年）に伝来しました。屋久島や沖縄など温暖な地域で栽培されていますが、ウコンと比較すると寒さには弱いため、生育には暖かい気候が必要です。

植物の特徴としては、広卵形の根茎と多数の塊茎を持ちます。葉は数枚が根生し、長い柄があり、長楕円形で数十センチの長さに成長します。葉の基部は紫色を帯びているのが特徴です。葉の間からは広い楕円形の穂状花序が伸び、卵形で緑色の苞に包まれた淡黄色の花を5～6月頃に咲かせます。ウコンと似た花を咲かせますが、異なる植物であることに注意が必要です。

ガジュツの根茎は生薬として利用され、日本薬局方にも収載されています。芳香健胃作用があるとされ、ウコンよりも薬効が強いとされています。生薬としては「莪朮（がじゅつ）」と呼ばれますが、中国では塊根を「鬱金（ウコン、キョウオウと同じ）」、根茎を「蓬莪朮（ほうがおじゅつ）」と呼んで区別している点が興味深いところです。

ガジュツは、古くから薬用植物として利用されてきた歴史を持ち、その薬効の高さから、現在でも生薬として重宝されています。ウコンと混同されやすいですが、異なる植物であることを理解し、それぞれの特性を活かした利用が重要です。ウコンとガジュツは、見た目も似ており、名前も似ているため、注意深い区別が必要です。しかし、それぞれの植物が持つ異なる薬効成分と、それらによる効果の違いを理解することで、より適切な使用方法を選ぶことができるでしょう。 現代においても、ガジュツは伝統的な薬用植物として、また、その独特の香りと風味を生かした食品素材としても、注目を集めています。今後、さらなる研究により、ガジュツの持つ薬効成分やその作用機序が解明され、より幅広い分野での活用が期待されます。

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