ガス・エレクトリック方式

ガス・エレクトリック方式とは

ガス・エレクトリック方式は、船舶や艦艇、鉄道車両、自動車など多様な輸送手段に適用される推進力の伝達方法です。この方式では、ガソリンエンジンが発電機を駆動し、生成された電力を用いて電動機を作動させます。これにより、推進力を生み出す仕組みです。

呼称と用語

この技術は、英語では「Petrol-electric transmission」と呼ばれ、アメリカでは「Gasoline-electric」または「Gas-electric transmission」と言われています。日本においては、アメリカから導入された名称に基づいて「ガス・エレクトリック」または「ガソリン・エレクトリック」という呼び名が一般的です。一方、発電用の内燃機関がディーゼルエンジンの場合には「ディーゼル・エレクトリック方式」として区別されます。

動作原理

ガス・エレクトリック方式では、ガソリンエンジンを使用して発電機を回すことで電力を生み出します。生成された電力は制御され、望みの回転数で電動機を駆動させることによって推進力を得ます。この方式の特徴的な点は、潜水艦のように空気供給なしで運転する以外では、通常、バッテリーなどのエネルギー蓄積装置を持たないため、エンジンを停止した状態では運転ができないことです。この点がシリーズハイブリッド方式との違いとなります。

技術の歴史

初期のガス・エレクトリック方式は、半導体素子を用いたパワーエレクトロニクス技術が発展していないため、主に直流電動機が使用されていました。そのため、発電機として直流発電機（整流子を持つ発電機やダイナモ）を駆動するワード・レオナード方式が広く利用されました。これは、バスやトラック、戦車、大型鉄道車両、さらには初期の潜水艦の動力源としても使用されていました。潜水艦の場合は、バッテリーを併用してエネルギーを補うことが一般的でした。

しかし、ディーゼルエンジンの実用化と技術の進展に伴い、ガス・エレクトリック方式は次第にその地位を失っていきました。ディーゼルエンジンは、効率性や信頼性、燃費、燃料の安全性などの面で優れているため、大型低速の動力源として重用され、次第に「ディーゼル・エレクトリック方式」が主流となりました。特に、フランスやドイツにおいては、軍用車両の開発においてガス・エレクトリック方式が使用された事例があり、歴史的には注目されています。

現代の応用

2016年、日産はノート E12をモデルとして、ガソリンエンジンを発電専用に使用する技術「e-Power」を発表しました。これは、電池とエンジンからの電力でモーターを駆動するもので、技術的にはガス・エレクトリック方式とは異なり、バッテリーの使用が基本です。このことから、一般にはシリーズハイブリッドと分類されます。

関連技術

ガス・エレクトリック方式に関連する技術として、エンジン、レシプロエンジン、ディーゼル・エレクトリック方式、さらにターボ・エレクトリック方式などが挙げられます。これらは、さまざまな条件下での推進力の提供やエネルギー効率の最適化を目指して開発されています。

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