ガテン

ガテン

ガテンとは、かつて大手出版社であるリクルートによって刊行されていた、特定の専門職種に特化した求人情報誌の名称です。1991年9月に創刊され、主に土木、建築、ドライバー、調理師、メカニックといった、いわゆるブルーカラーと呼ばれる分野の仕事に携わる人々を対象とした求人情報を集中的に提供していました。

誌名の由来と特徴

この雑誌の名前である「ガテン」は、物事が理解できた、納得がいったという意味の「合点がいく」という言葉と、了承や承諾を示す際に使われる俗語「がってん」という二つの言葉を組み合わせて名付けられた造語です。この名前には、働き手と企業の間で仕事が「合点」する、あるいは仕事への肯定的な姿勢を示す「がってん」といった意味合いが込められていたと考えられます。

創刊当時、このような技能や経験を重視する専門職種に特化した求人情報誌は、他の分野と比較して競合が非常に少ない状況でした。その中で「ガテン」は、ブルーカラー向けの求人情報誌として最も広く知られ、代表的な存在となっていきました。

社会への影響：代名詞と俗語の誕生

「ガテン」が広く社会に認知された背景には、いくつかの要因があります。まず、誌面に採用されていた、働く人々の力強さや専門性を感じさせるインパクトのある表紙画像は、多くの人々の目に留まり、雑誌のイメージを強く印象付けました。また、誌面に登場する求職者や、実際に働く人々の個性的で力強い姿も、雑誌の存在感を高める一因となりました。

これらの要因が複合的に作用した結果、「ガテン」という言葉は、単なる雑誌の名称を超え、特定の技能を持って働く肉体労働者全般を指す代名詞としても広く使われるようになりました。「ガテン系」という俗語が生まれたのも、この雑誌の強い影響力を示しています。現在でも、建設業や製造業、運送業など、肉体労働を伴う職種や、それに従事する人々を指して「ガテン系」という言葉が一般的に使われていますが、これはまさに雑誌「ガテン」の名前が直接的な語源となっています。

この雑誌は、高度な専門性や経験を持つブルーカラーの働き手を求める企業と、自身の技能を活かせる職場を探す人々を結びつける重要な役割を果たしました。掲載されていた職種は多岐にわたり、それぞれの分野で即戦力となる人材の流動化に貢献したと言えるでしょう。

しかしながら、時代は移り変わり、求人情報の提供形態も変化していきました。インターネットの普及に伴い、多くの求人情報がオンラインで提供されるようになったこともあり、雑誌媒体の役割も変化していきました。結果として、「ガテン」は2009年に休刊することとなりました。公称の発行部数は4万2000部とされていますが、休刊までの間、ブルーカラー分野における求人媒体として、そして特定の働き手を指す言葉の語源として、社会に大きな影響を与えた雑誌でした。

もう一度検索