ガリバーの宇宙旅行

ガリバーの宇宙旅行

1965年3月20日に公開された『ガリバーの宇宙旅行』は、東映動画が創り出した劇場用アニメ映画として、その時代初の宇宙SF作品です。本作は、孤児の少年テッドがガリバー博士と出会い、仲間たちと共に「希望の星」へ向けて壮大な宇宙の旅を繰り広げる物語が描かれています。その内容は、ジョナサン・スウィフトの名作『ガリバー旅行記』をもとにしているものの、宇宙という新たな舞台を背景にし、物語は独自の展開を見せます。

あらすじ

物語は、両親を持たず、家もない少年テッドが、映画館で放映していた『ガリバー旅行記』を観ているシーンから始まります。テッドは、映像の美しいガリバーに憧れ、心の奥では「希望を捨てるな」との言葉に反発するような複雑な心情を抱いていました。そんなある日、彼は捨てられた喋る兵隊人形「大佐」とノラ犬「マック」とともに無人の遊園地で遊びますが、警備員に見つかり逃げることになります。

逃げ込んだ先で出会ったのは、老いたガリバー博士でした。彼は「青い希望の星」への最後の旅をするため、ロケット「ガリバー号」を建設しているところでした。テッドは彼の話を聞き、自分たちも借り出されることを決意します。

それから、完成したロケットでテッド、ガリバー博士、マック、大佐の4人は宇宙に旅立ちました。途中で「時間が逆回転する空間」を超え、青い星に近づくものの、未知の飛行物体に捕まってしまいます。連れていかれた先は、紫色の星で、ロボットのような宇宙人に迎えられるのです。宇宙人たちは、かつて青い星に住んでいた先祖たちだと明かしますが、彼らは悪化したロボットの支配を受けていました。テッドはその無情な運命に驚愕します。また、青い星のロボット軍団が王女を連れ去り、彼らを攻撃する事態に発展します。

クライマックスと結末

テッドたちは、ロケットを駆使して青い星に向かい、ロボット軍団に立ち向かいます。テッドは水鉄砲で、自らの犬マックは水風船で攻撃し、ロボットたちを壊滅させます。しかし、頑強な首領ロボットが立ちはだかります。最終的にテッドは首領の内部に忍び込み、その真実を知ります。実は、ロボットは人間が操縦していたのです。テッドは操縦者を排除し、ロボットを撃破しました。王女を救出した後、彼は王女の事実を知り、その姿に感動します。

結末では、テッドが再び地球に戻り、希望を持って未来に向かう様子が描かれています。彼が「青い星は生まれ変わる」と王女に告げ、笑顔で駆け出すシーンは、希望の象徴として強い印象を残します。

制作背景と評価

本作は、1963年に制作が始まりましたが、様々な理由で公開が遅れました。多くのスタッフが参加し、特に宮崎駿氏も制作に携わっていました。作品の評価はスタッフからは必ずしも良くなかったものの、子どもたちにとっては夢の世界への入口となる試みが評価されています。

アニメーション技術や物語の展開、音楽さらにはキャラクターの魅力など、視覚と聴覚の両方で子供たちを引きつける要素が盛り込まれ、今なおその存在価値が感じられる作品です。

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