ガリレオの苦悩

『ガリレオの苦悩』

東野圭吾による推理小説『ガリレオの苦悩』は、人気のガリレオシリーズの第4弾です。2008年10月に短編小説集として発表され、2011年に文庫版も登場しました。本作では、シリーズのファンにはお馴染みのキャラクターである湯川学と内海薫が登場し、さまざまな難事件に立ち向かいます。同時刊行された『聖女の救済』と合わせて読むことで、さらにその世界観を深く味わうことができます。

登場人物と事件の概要

本作には、いくつかの短編が収められており、それぞれ異なる事件が詳細に描かれています。特に目を引くのは、事件を解決するために科学的アプローチを駆使する湯川と、彼が信じるトリックに挑む内海薫の関係です。

第一章: 落下る

マンションから転落死した女性の事件が発端となります。被害者の身に残された痕跡から他殺の可能性が浮上し、警察の捜査が始まります。物語は被害者の同じ大学に通っていた先輩の岡崎光也がアリバイを主張するところから展開され、恋愛関係にあったのではないかという疑惑も持たれます。内海薫は、草薙に頼んで湯川に助けを求めますが、湯川は最初は協力しない態度を見せます。しかし、薫が自らの仮説を立てて挑んでいく中で、湯川の言葉で前進力を得ることになります。

第二章: 操縦る

元帝都大学助教授の友永幸正の家で起きた息子邦宏の死が主題です。火事の後に焼死したかと思われた邦宏の遺体は、実は刺殺されていました。密室状態であったため、その解明には湯川の頭脳が必要とされます。

第三章: 密室る

友人から依頼されたペンションでの転落死の事件。当初は密室状態での死亡だったため、湯川は周囲を調査し始めますが、その途中で事態は一変し、藤村との微妙な関係が問題を複雑にします。

第四章: 指標す

老女の家から金が盗まれた事件で、娘の葉月が関與しているのではないかと疑われます。ダウジングで犬の死骸が見つかり、真実が明るみに出る過程はミステリーとしての深さを深めます。

第五章: 攪乱す

「悪魔の手」と名乗る人物からの予告で始まる事件は、湯川と警察を翻弄します。様々な手法で次々と殺人が行われ、その裏には湯川の推理力が試される場面が展開されます。

まとめ

『ガリレオの苦悩』は、推理小説としての魅力だけでなく、人間関係や科学的思考を交えた犯罪の解決過程が見事に描かれています。各短編が互いに関連し合いながら、読者を引き込むストーリーが繰り広げられるこの作品は、推理ファン必見の一冊です。

もう一度検索