ガリーナ・ズブチェンコ

ハリーナ・ズブチェンコ（1929年7月19日 - 2000年8月4日）は、ウクライナのキエフ出身の画家、社会運動家です。彼女はキエフ芸術ユースクラブの創設メンバーの一人であり、その芸術活動はウクライナ文化の復興に大きく貢献しました。

生い立ちと初期の芸術教育

ハリーナはキエフの科学者の家庭に生まれました。父は農業科学者、母はウクライナ国立科学アカデミーの研究者でした。幼少期から芸術に触れ、最初の師はボイチュキスタ（ミハイロ・ボイチュクの画家グループ）の一員であるオクリマ・クラヴチェンコでした。その後、フェジル・クリチェウスキとミハイロ・ボイチュクの生徒であったエリザベタ・ピスコルスカのスタジオで学び、1944年から1949年までシェフチェンコ記念共和国美術学校に通いました。ここではヴォロディミル・ボンダレンコから美術を学び、キエフ州立芸術研究所ではオレクシイ・ショウクネンコに師事しました。

カルパティアへの旅と創作活動

1956年、ズブチェンコはカルパティア山脈を訪れ、その自然と文化に魅了されました。彼女は「カルパティアは私の内なる世界、夢が現実になった場所」と語り、この地で古いキエフ・ルーシの精神を感じたと言います。レムコ族の家でのスケッチを基に作品「アルカン」を制作しました。1957年、再びカルパティア地方を訪れ、リチカ村に滞在しました。フツル族の人々と生活を共にし、「リチカ村の少女」や「ヤナギのある風景」など多くの作品を生み出しました。翌年にはブルストリヴウ村に滞在し、現地の風景や人々の肖像画を制作しました。

卒業制作とイデオロギーの壁

卒業制作のテーマに「フツルの結婚式」を選びましたが、作品は「イデオロギー的に不適切」とされ、修正を余儀なくされました。彼女は、この作品を何とかして守ろうと尽力し、結果的に作品は複数回にわたり修正され、ようやく展示されることになりました。

フツル文化をテーマにした作品

1959年から1964年、ズブチェンコは繰り返しカルパティア地方を訪れ、フツル族をテーマにした作品を制作しました。「モイシュチカ」、「パラスカの姫」、「年老いた占い師」、「山の女王」などの民族衣装をまとった女性像や、「家主」、「フツルニコラス」などの男性像、子供の肖像画、風景画など、数多くの作品を制作しました。

1960年代の文化復興運動とモニュメンタルアート

1961年、ズブチェンコはレス・タニュクが率いる創造的な若者のクラブに参加し、アラ・ゴルスカ、ナジャ・スヴィトゥリチナらと活動を共にしました。このクラブではベニアミン・クシニルが率いる美術部門が作られました。1964年にはアラ・ゴルスカらと共同でキエフ国立大学のロビーにステンドグラス作品を制作しましたが、その後、当局によって破壊されました。1965年には、アラ・ホルスカと共にドネツクの学校の装飾を担当し、巨大なモザイク作品を制作しました。

1965年、ズブチェンコはウクライナ芸術家連盟のメンバーとなり、1967年には画家グリゴリ・プリセヂコと結婚しました。その後10年間、彼女は夫と共にマリウポリやキエフの建築アンサンブルにおいて記念碑的な作品を制作しました。夫の死後も、記念碑的な芸術作品の制作を続けました。

後年の活動

1985年、ズブチェンコは再びカルパティア山脈を訪れ、農場や人々の肖像画を描きました。1990年代にはキリスト教をテーマにした作品を多く制作しました。また、クリミア半島で水彩画のシリーズを制作し、1999年にはクロアチアのザグレブで個展を開催しました。

実績と遺産

ズブチェンコは、国内外で数々の展覧会に参加し、5回の個展を開催しました。彼女の作品は、ウクライナや海外の美術館、個人コレクションに収蔵されています。彼女は、ウクライナの文化と芸術に多大な貢献をした画家として、その名を歴史に刻んでいます。

主な作品

アルカン
リチカ村の少女
ヤナギのある風景
フツルの結婚式
モイシュチカ
パラスカの姫
年老いた占い師
山の女王
ブルーミングウクライナ
ビクトリー
* 春、夏、秋（ステンドグラス）

ギャラリー

[ハリーナ・ズブチェンコの絵画のギャラリー]

もう一度検索