ガーニーフラップ

ガーニーフラップ (Gurney Flap) の概要

ガーニーフラップは、自動車におけるエアロダイナミクスの重要な要素であり、特にレーシングカーにおいて効果を発揮します。このパーツは、ウイングの後端に垂直に設置され、形状は薄く板状です。その名前は、アメリカの伝説的なレーシングドライバーであり、この技術の発案者であるダン・ガーニーに由来しています。また、別名「ウィッカービル」とも称されることがあります。

ガーニーフラップの機能

自動車のウイングは、車両のダウンフォースを生み出すために設計されていますが、レース競技の規則によりウイングの面積や羽の数には制約があります。そこで、ダウンフォースを増加させるために小さな形状の改良が求められ、ガーニーフラップが開発されました。

ガーニーフラップをウイングの後部に取り付けることで、エアロダイナミクスが変化します。流れる気流がこのフラップに当たることで、後部で渦型の気流が発生し、ウイング自体の性能を向上させます。これにより、大きなウイングを装着した場合と同様の効果を得ることが可能です。

利点と欠点

ガーニーフラップは、ダウンフォースが増えるという大きな利点がありますが、一方でドラッグ（抵抗力）も増加するため、最高速度に影響を及ぼします。これがガーニーフラップの欠点とされる一因です。しかしながら、ガーニーフラップは取り外しが容易なため、サーキットの特性に応じて柔軟にセッティングを変えられることが普及の理由の一つです。たとえば、コーナーの多いテクニカルなコースではフラップを取り付け、直線が長いサーキットでは取り外して最高速度を重視するという戦略がとられます。

加えて、レース中にダウンフォースを調整したい場合にも役立ちます。例えば、路面が濡れている状況からスタートし、後に乾いてくると予測される場合には、最初にガーニーフラップを取り付けた状態でスタートし、ピットイン時にフラップを取り外してダウンフォースを減らすという方法が一般的です。

他の応用

ガーニーフラップは自動車だけでなく、ヘリコプターの水平安定板にも利用されることがあります。この場合、左右に設置することで翼面積を増大し、全体の軽量化に寄与します。特にシングルロータ型のヘリコプターでは、前進飛行時に横方向の推力を生成し、テールロータの機能を補助する役割も果たします。

DIYによる制作

実は、ガーニーフラップは非常に簡単に制作できるため、草レースや個人のカスタムカーでもよく見かけます。市販されているL字型の金具をウイングに合わせて加工すれば、自分で作成することも可能です。これにより、自動車愛好家やレーシングファンにとって、手軽にエアロダイナミクスを改善する手段となっています。

ガーニーフラップは、レーシングカーの性能向上に不可欠なパーツであり、そのシンプルさと効果の高さから、現在も多くのレースシーンで利用されています。

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