キゾンバ

キゾンバ

キゾンバは、アフリカ南西部アンゴラ発祥の音楽とダンススタイルです。フランス語圏カリブ海のズーク音楽の影響を受けつつ、アンゴラ独自の文化と融合して生まれました。主にポルトガル語で歌われる音楽は、アフリカのリズムを取り入れたロマンティックで官能的なサウンドが特徴です。また、それに合わせて踊られるダンスは、パートナーと密接に寄り添い、流れるように動くスタイルで知られています。アンゴラだけでなく、旧宗主国ポルトガルをはじめとする世界各地で親しまれています。

歴史と発展

その起源は1989年末から1990年初頭のアンゴラに遡ります。ブラジルのサンバの源流とされるアンゴラのセンバとズーク音楽が融合し、他のポルトガル語圏文化の影響も受けました。当初アンゴラで発展しましたが、ポルトガル語圏のアフリカ諸国やポルトガル本国へすぐに広まりました。特にリスボン周辺では、アンゴラなどからの移民コミュニティがキゾンバクラブを設立し、ポルトガル人にも人気が拡大。ポルトガルではズーク系の音楽全般を指すこともあります。サン＝トメ・イ・プリンシペのキゾンバはアンゴラのスタイルに似ており、ジューカ氏が著名です。

音楽の特徴

キゾンバ音楽は、エレクトリック・パーカッションによる独特のリズムが特徴です。比較的ゆったりとしていながら力強く、感性に訴えかける響きを持ちます。ロマンティックで流れるような雰囲気で、主にポルトガル語で歌われ、愛などをテーマにしています。

ダンスの特徴

この音楽に合わせて踊られるキゾンバダンスは、パートナーとの密接な繋がりが重視されます。二人が寄り添うように、体全体を使って滑らかでゆったりと動きます。ステップは複雑でなく、呼吸を合わせることが重要です。特に膝を柔らかく使うことで、流麗さと官能性が生まれます。固くならずにリラックスして踊ることが真髄で、その親密さと表現力から扇情的な印象を与えます。

国際的な広がりと主なアーティスト

現在、キゾンバはアンゴラを越え、様々な国や地域で人気を博しています。特にポルトガル語圏の国々、すなわちアンゴラ、ギニア＝ビサウ、カーボ・ヴェルデ、モザンビーク、赤道ギニア、サン＝トメ・イ・プリンシペ、東ティモールなどで広く親しまれています。さらに、ブラジルやマカオ地区などでもファンが増加。アンゴラの首都ルアンダには多くの活気あるキゾンバクラブが存在します。このジャンルを代表するアンゴラ出身のミュージシャンには、ネイデ・ヴァン＝ドゥーネン、Don Kikas、Calo Pascoal、Irmãos Verdadesらがいます。中でもベテランのボンガは、1970-80年代にアンゴラとポルトガルでキゾンバスタイルを普及させた功績が大きいです。彼らの活動により、キゾンバは国際的なダンス音楽ジャンルの一つとして認知されています。

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